Daily Archives: 2013年10月15日

不当労働行為73(日本郵便事件)

おはようございます。 今週も一週間、がんばっていきましょう!!

さて、今日は人事異動と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

日本郵便事件(神奈川県労委平成25年6月21日・労判1073号93頁)

【事案の概要】

平成23年3月頃、Xは、「動労千葉を支援する会・全逓横浜」を結成し、代表に就任した。

同年7月、Y社は、Xに対し、横浜泉支店第二集配営業課への人事異動がある旨を伝えたが、Xは、拒否すると述べた。

同月、Xは、戸塚支店前等において、強制配転反対との見出しのビラを配布した。

その翌日、Y社は、Xに横浜泉支店第二集配営業課への異動を発令した。

なお、この異動により、Xの担当業務に変更はなく、同人の通勤時間は、片道約45分から約65分となった。

【労働委員会の判断】

本件人事異動は不当労働行為に当たらない。

【命令のポイント】

1 一般的に、労組法7条1号に定めのある「労働組合の正当な行為」とは、労働組合自身が行う行為、若しくは組合員が労働組合からの授権によって行う行為に限られるものではなく、客観的にみて組合員に影響する労働条件の維持・改善などを図る行為や、労働組合の自主的・民主的運営を志向する組合員による自発的活動をも含むと解すべきである

2 支援する会は、組合のあり方を変えていく体質改善を目的としてはいるものの、実際には組合の組合員以外の者も所属することができる会であり、その主な活動は、動労千葉の国鉄分割民営化に反対して解雇された動労千葉の組合員に対しての支援活動として物資販売を行うことを通じて解雇撤回の運動を職場の中に広めること、被災地への救援物資販売、反原発の運動などであり、客観的にみて労働条件の維持・改善など組合の目的に沿った活動であるとはいい難い。現に動労千葉を支援する会の要綱には組合に関する項目はなく、支援する会が労働条件に係る問題を取り上げ会社に対し要求した事実もない。このほか、支援する会の活動が組合内の意見表明行為であるとする特段の事情も認められず、組合の自主的・民主的運営を志向する活動はいえない。
したがって、支援する会の活動が労働組合の行為とは認められない以上、それが正当な行為か否かを問題とするまでもなく、本件人事異動は労組法7条1号の不利益取扱いには該当せず、ひいては支援する会に対する同3号の支配介入にも該当しない

労組法7条1号の「労働組合の正当な行為」の意義について示されています。

こういう形での判断は、珍しいと思います。 参考にしてください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。