おはようございます。
さて、今日は、機密情報を無断で持ち出したこと等を理由とする懲戒解雇と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
E社事件(大阪府労委平成25年4月24日・労判1071号95頁)
【事案の概要】
Y社(産業廃棄物の収集運搬業)は、組合員Xを懲戒解雇した。
懲戒解雇事由は、Xが、従業員の昇給等のデータや会社の得意先一覧データを無断でプリントアウトし持ち出したこと等である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない。
【命令のポイント】
1 X組合員の本件得意先一覧及び本件昇給等データの無断持出しは、懲戒解雇に相当する重大な違反であり、A分会長の上記行為は、X組合員に対し、本件得意先一覧の持出しを依頼することで、結果として同人に窃盗罪にも当たる違反行為を行わせる原因を生ぜしめた上、自らそのリストを受け取っていることからすれば、Y社が、就業規則74条11号の「会社内で横領、傷害などの刑法犯に該当する行為があったとき」及び同条21号の「刑法その他法令に規定する犯罪に該当する行為をなし、その後の就業に不適当と認められるとき」に該当するとして、懲戒処分の中でも懲戒解雇に相当する重大な違反と判断したことは首肯できる。
2 以上のとおり、解雇理由は、いずれも不当とはいえず、Y社がC分会長に対する処分として懲戒解雇に相当するとしたことを相当性を欠く判断とはいえない。
以上のとおりであるから、組合員らに対する本件懲戒解雇は客観的に合理的な理由を欠くものとは認められず、社会通念上相当性を欠くとも認められないのであって、組合員であるが故の不利益取扱いとはいえず、この点に組合の申立てを棄却する。
本件では、懲戒解雇の有効性と不当労働行為成立の有無は、表裏の関係にあります。
特に組合員であるからどうだという話ではないということですね。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。