おはようございます。
さて、今日は、長期欠勤による勤務実態に不良があったことを理由とする雇止めに関する裁判例を見てみましょう。
日本郵便事件(東京地裁平成25年1月16日・労経速2171号25頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結して稼働していたXが、同社から雇用契約の期間途中に解雇されたところ、同解雇は無効であるなどと主張して争った事案である。
なお、Y社が作成した雇止め理由証明書には、雇用契約を更新しない理由として、Xに長期欠勤による勤務不良等があったことを掲げている。
【裁判所の判断】
雇止めは有効
【判例のポイント】
1 Xは、平成22年9月27日、C、D及びEとX方で面談した際、同年10月31日までを契約期限とする旨の「期間雇用社員雇入労働条件通知書」及び同日をもって雇止めとする旨の「雇止め予告通知書」を受領して、Cからその内容の説明を受けたのに対し、「分かりました」と述べていること、その後、同月27日頃、退職を前提とする秘密保持に係る同年10月31日付「誓約書」を作成し、社員証の返還やロッカーを整理してその鍵を返還し、その際、C課長や周りの職員に対して退職のあいさつをし、新たな稼働先の名刺を交付するなどしているといった事実を指摘することができ、これらの点に照らせば、本件更新契約の契約期間は、XとY社との合意により、同日までとされたものと認めるのが相当である。
2 Xは、うつ病を患い、度々、長期欠勤をすることがあり、上長であるFから、このままでは契約更新ができない場合があるなどと告げられたこともあったことところ、平成22年8月30日、上長であるCに届けなく欠勤したほか、その後、何らの届けなく欠勤し、連絡すらままならない状態となったこと、・・・こうした経過を踏まえ、1か月の契約更新と同年10月31日をもって雇止めをする方針としたCらが、同年9月27日、Xを訪ね、「期間雇用社員雇入労働条件通知書」及び「雇止め予告通知書」を交付し、その内容の説明をしたところ、Xは、「分かりました」と述べて了承したこと、以上の点を指摘することができる。
上記諸点に照らすと、・・・同雇止めにより契約を終了することとしたからといって、社会通念上相当であると認められない場合に該当するということはできない。
してみると、上記事情の認められる本件においては、同雇止めをもって無効と解することはできず、本件更新契約は、同雇止めにより終了したものと認めるのが相当である。
裁判所は、Xが雇止めを受け入れるかのような行動をとっていることに着目し、雇止めを有効と判断しています。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。