Daily Archives: 2013年5月23日

労働災害63(A工業事件)

おはようございます
__←先日、社団法人の理事会終了後、理事のみなさんと「こはく」に行ってきました

写真は、「さくらえびのかき揚げ」です。

みんなプラスのオーラが出ているので、パワーをもらえます。 本当にいい仲間です。

今日は、午前中は、離婚調停と新規相談が1件です。

午後は、新規相談が3件、顧問先会社との打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は特別加入者死亡に対する労災補償不支給決定処分取消請求に関する最高裁判決を見てみましょう。

A工業事件(最高裁平成24年2月24日判決・労判1064号18頁)

【事案の概要】

本件は、建築工事の請負を業とするY社の代表取締役であり労災保険法(改正前のもの)27条1項所定の事業主(中小事業主)の代表者として法28条1項(現行法34条1項)の承認に基づき労災保険に特別加入していたXが、Y社において受注を希望していた工事の予定地の下見に赴く途中で事故により死亡したことに関し、その妻が、Xの死亡は同項2号にいう「業務上死亡したとき」に当たるとして、法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、広島中央労働基準監督署長から、これらを支給しない旨の決定を受けたため、その取消しを求めた事案である。

本件の争点は、労災保険法28条(現行法34条)1項2号所定の業務上死亡した場合に当たるかである。

第1審判決(広島地裁平成21年4月30日)は、Xの本件下見行為に業務遂行性を認めた。

第2審判決(広島高裁平成22年3月19日)は、一審判決を取り消し、業務遂行性を否定した。

【裁判所の判断】

上告棄却
→業務遂行性を否定

【判例のポイント】

1 法28条1項が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を労働者とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。そして、法3条1項、労働保険の保険料の徴収等に関する法律3条によれば、保険関係は、労働者を使用する事業について成立するものであり、その成否は当該事業ごとに判断すべきものであるところ(最高裁平成9年1月23日)、同法4条の2第1項において、保険関係が成立した事業の事業主による政府への届出事項の中に「事業の行われる場所」が含まれており、また、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則16条1項に基づき労災保険率の適用区分である同施行規則別表第1所定の事業の種類の細目を定める労災保険率適用事業細目表(昭和47年労働省告示第16号)において、同じ建設事業に附帯して行われる事業の中でも当該建設事業の現場内において行われる事業とそうでない事業とで適用される労災保険率の区別がされているものがあることなどに鑑みると、保険関係の成立する事業は、主として場所的な独立性を基準とし、当該一定の場所において一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体を単位として区分されるものと解される
そうすると、土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(同施行規則6条2項1号)を行う事業主については、個々の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本店等の事務所を拠点とする営業、経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個の事業であって、それぞれその業務の中に労働者を使用するものがあることを前提に、各別に保険関係が成立するものと解される

2 したがって、建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、上記営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、上記営業等の事業について、当該事業主が法28条1項に基づく特別加入の承認を受けることはできず、上記営業等の事業に係る業務に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである

3 Y社は、建設の事業である建築工事の請負業を行っていた事業主であるが、その使用する労働者を、個々の建築の現場における事業にのみ従事させ、本店を拠点とする営業等の事業には全く従事させていなかったものといえる。そうすると、Y社については、その請負に係る建築工事が関係する個々の建築の現場における事業につき保険関係が成立していたにとどまり、上記営業等の事業については保険関係が成立していなかったものといわざるを得ない。そのため、労災保険の特別加入の申請においても、Y社は、個々の建築の現場における事業についてのみ保険関係が成立することを前提として、Xが行う業務の内容を当該事業に係る「建築工事施工(8:00~17:00)」とした上で特別加入の承認を受けたものとみるほかはない
したがって、Xの遺族である上告人は、上記営業等の事業に係る業務に起因するXの死亡に関し、法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきところ、本件下見行為は上記営業等の事業に係る業務として行われたものといわざるを得ず、本件下見行為中に発生した本件事故によるXの死亡は上記営業等の事業に係る業務に起因するものというべきであるから、上告人に遺族補償給付等を支給しない旨の本件各処分を適法とした原審の判断は、結論において是認することができる。

特別加入者に関する最高裁の判断です。

参考にしてください。