おはようございます
←先日、顧問先会社の社長とともに「博」に行きました
突然、毛ガニが出てきました。
言うまでもなく、味は秀逸です! すばらしい!!
今日は、午前中は、弁護士会で法律相談が入っています。
午後は、不動産関係の裁判が1件入っています。
最近、不動産関係の裁判が非常に多いです。
土曜日のセミナーの準備をしないと・・・
今日も一日がんばります!!
さて、今日は、労災の特別加入者による労災保険不支給処分の取消請求に関する裁判例を見てみましょう。
後藤塗料商会事件(東京地裁平成24年7月20日・労判1058号84頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の代表取締役であるXが、就業中に脚立から滑り落ちて左足を負傷し、左リスフラン関節脱臼の傷害を負ったことが、業務遂行中の災害であると主張して、労働者災害補償保険法の特別加入者として、同法に基づく療養補償給付および休業補償給付の支給を請求したところ、品川労基署長が、本件傷害は業務遂行中の災害とは認められないという理由でこれらをいずれも支給しない旨の処分をしたことから、Xが、国に対し、本件各不支給処分の取消しを求めた事案である。
【裁判所の判断】
本件各不支給処分は違法
【判例のポイント】
1 特別加入制度は、労働基準法上の労働者に該当しない者であっても、業務の実情、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者もいることから、かかる者に対し、保険技術的な観点から可能な範囲において、労災保険を適用しようとする制度であるところ、特別加入者の被った災害が業務災害として保護される場合の業務の範囲をあくまでも労働者の行う業務に準じた業務の範囲としており、特別加入者の行う業務に関するすべての行為に対して労災保険による保護を与える趣旨のものではないと解される。そのため、本件通達は、要件を定めて、これを満たす行為に限り、業務遂行性を認めるとし、その1つとして、要件ロ「労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合」が定められている。
かかる趣旨によれば、要件ロの注の「労働者の所定労働時間外における特別加入者の業務行為については、当該事業場の労働者が時間外労働又は休日労働を行っている時間の範囲において業務遂行性を認めるものである。」という定めのうち「特別加入者の業務行為」については、要件イと別異に解する理由はなく、中小事業主の行為が、要件イの「特別加入申請書別紙の業務の内容欄に記載された所定労働時間内において、特別加入の申請に係る事業のためにする行為(当該行為が事業主の立場において行う事業主本来の業務を除く。)及びこれに直接附帯する行為(生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。)を行う場合」に当たることを要するものというべきである。
2 なお、要件ロが、要件イのように中小事業主の時間外労働や休日労働に当たる行為という定め方をしなかったのは、中小事業主の場合は、自己の判断で時間外労働に従事することとなり、労働者とみなされる業務を遂行している際に被災したものか、事業主の立場において行った事業主本来の業務中に被災したものか等を判断できない事態が生じうるため、時間外労働や休日労働に従事していた労働者の陳述等によって、中小事業主が時間外労働や休日労働に従事していたことを証明させることとしたものと解される。
3 Y社は塗料販売を業とする会社であり、会社の規模は役員2名、従業員3名という極めて小規模な会社であること、Xが本件受傷当時行っていた作業は店舗内の美化のための商品棚や壁の塗装であること、作業の態様も脚立の1.3mの高さの天板に腰掛けて、刷毛でペンキを壁に塗っていたものであることなどに照らせば、本件行為はあくまでも塗料販売を行う本件店舗の美化のために必要な行為であり、Xの特別加入申請にかかる事業である「塗料販売」の必要行為であるというべきであるから、「塗料販売」に直接附帯する行為であると認めることができる。
以上によれば、Xは、本件受傷当時、「労働者の時間外労働に応じて就業していた」ものと認めることができるから、前記要件ロに該当し、本件受傷は、労災保険法7条の「業務上の負傷」に該当するというべきである(業務遂行性が認められる以上、本件受傷が業務に起因することは明らかである。)。
労災保険の特別加入に関する裁判例はあまり見かけませんが、いつか取り扱うかもしれません。
日頃から準備をして、いざというときに適切に対応できるようにしなければいけません。
すべては準備が大切ですね。