おはようございます。
さて、今日は、期限付契約職員の雇止めまたは嘱託職員として継続雇用しなかったことと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
関西学院(期限付契約職員雇止め)事件(中労委平成24年10月3日・労判1058号96頁)
【事案の概要】
Xは、Y法人のキャンパス自立支援課コーディネーターに応募して、平成18年4月1日、雇用期間1年、最長4年まで更新の可能性がある旨の期限付契約を締結し、キャンパス自立支援課で勤務することとなった。
平成20年11月または12月頃、キャンパス自立支援課課長は、Xから最長4年となっている自分の雇用について、本当に継続雇用の可能性がないのか人事課に聞いて欲しいと要請され、人事課に問い合わせたところ、継続雇用はできないといわれ、これをXに伝えた。
また、Xを嘱託職員に変更して継続雇用することの可能性についても人事課に確認したところ、そのようなことは課長には関係ないといわれ、それをXに伝えた。
21年1月、Xの所属長である教務部長および課長は、Y法人にXの継続雇用の可能性について確認したところ、Y法人から人事政策を変更することはできないと回答され、2月、Xにその旨を伝えた。
【労働委員会の判断】
Xの雇止めは不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 Xの継続雇用の可能性に関する人事課への問い合わせの経過からすれば、「継続雇用の可能性」は、回答済みの期限付契約職員としての継続雇用の可能性のことではなく、むしろ、明確な回答がなかった嘱託職員としての継続雇用の可能性の趣旨であったものと解するのが相当であり、21年1月20日の確認は、その点に関する法人の方針についての最終的な確認として行われたものであるとみることができる。また、上記の問い合わせに対する回答の内容はその都度Xに伝えられていたのであるし、同年2月13日、教務部長から継続雇用できない旨言われたことに対して、Xは、「私たちの継続雇用に向けて、あなた方ができる手立てはもうないと判断されたということですね。」「わかりました。後は自分でどうにかします。」と述べ、同日、自宅に帰った後に労働組合関係者に連絡を取り、翌日、労働組合関係者から紹介された組合に初めて連絡を取って、同月24日に組合に加入したのであり、これらのことからも、X自身、期限付契約職員としての継続雇用のみならず、嘱託職員への雇用形態の転換による継続雇用についても可能性がない旨を告げられたと理解していたものとみることができる。
2 そうすると、法人がXを期限付契約職員としては雇止めをしたこと及び同人を嘱託職員に変えて継続して雇用することも行わないことは、既にXが組合に加入する前から法人がとってきた方針なのであるから、これらをもって、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとはいうことはできない。
雇止めが組合員であるがゆえの不利益取扱いにあたるか否かについて、法人が、既にXが組合に加入する前から雇止めにすることを決めていたことを理由に否定しました。
方針決定の時期からの判断という点で参考になります。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。