Monthly Archives: 12月 2012

本の紹介153 いつやるか?今でしょ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、事務所のスタッフを連れて、事務所の近くの「海鮮貝焼 じゃん」に行ってきました

お店の名前のとおり、魚介類を焼いて食べるお店です。

ノリで入ってみましたが、貝好きにはいいお店ですね。

今日は、午前中は、東京高裁での裁判(電話会議)が1件入っています

午後は、沼津の裁判所での裁判(こちらも電話会議)が1件、打合せが1件入っています

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
いつやるか? 今でしょ!
いつやるか? 今でしょ!

東進ハイスクールで現代文を教えている林先生の本です。

東進、懐かしいな~。 私もよく通いました(笑)

「いつやるか? 今でしょ!」  CMのあれです。

いいですね。 こういうの大好きです。

内容もとても参考になります。 常識の逆を行く感じがする内容もありますが、まったく奇をてらっている感がありません。

しっかりとした理由があり、納得できるものが多いです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人は自分の判断基準に従って生きています。『こだわり』があるという言葉は、自分の判断基準を譲らない、という意味です。しかし、あまりにも『こだわり』が多すぎると、自分の世界を小さい閉じてしまうことになります。本当の『大物』は、実にこだわりが少ないものです。相手の判断基準に合わせて自在に立ち回る自信があるからです。したがって、『こだわり』の多さは『小ささ』の証明、と言えるのです。」(126頁)

誰の意見を、どう聞き、誰に、どう任せるか-最後まで、こだわるべきはここだけです。結局、『こだわり』とはモノに対して持つものではなく、人に対して持つものだ、ということなのです。」(131頁)

私自身、あまりモノに対してこだわりがないのですが、一般に、こだわりがある人は、かっこいいみたいなところがありますよね。

それはそれで別に趣味の話であればいいと思うのですが、仕事においては、あまり強いこだわりがあると周りがやりにくいということはあると思います。

こだわりは、モノに対して持つのではなく、人に対して持つという発想は、大変参考になります。

特に、悩んでいるとき、決断しきれないときに、誰に相談するか。

とりあえず、手当たり次第に相談してみるというのでは、周りも迷惑ですし、多数決で決める感覚になってしまいます。

そうではなくて、自分が信頼する人1人に相談をする。

そして、相談するからには、その人の意見を素直に受け入れる。

もし、素直に受け入れる覚悟がないのであれば、最初から相談なんかしない。

お互いにとって時間の無駄ですから。 特に相談される側は大変です。

人に対してこだわりを持つとは、こういうことを言うのではないでしょうか。

解雇88(日本航空(パイロット等)事件)

おはようございます。

さて、今日は、運行乗務員に対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日本航空(パイロット等)事件(東京地裁平成24年3月29日・労判1055号58頁)

【事案の概要】

Y社は、その子会社、関連会社とともに、航空運送事業及びこれに関連する事業を営む企業グループを形成し、国際旅客事業、国内旅客事業等の航空運送事業を展開する会社である。

Xらは、いずれもY社と期間の定めのない労働契約を締結し、航空機の機長または副操縦士として勤務してきたパイロットである。

Y社では、平成22年3月以降、退職金額の上乗せや一時金の支給などを条件に、二度にわたる特別早期退職措置を実施したほか、整理解雇の方針を表明する前後の4度にわたる希望退職措置を実施した。

しかし、こうした措置にもかかわらず、パイロットについては、稼動ベースで80名分が削減目標に達しなかった。

そこで、Y社は、Xらを整理解雇した。

【裁判所の判断】

整理解雇は有効

【判例のポイント】

1 会社更生法上、労働契約は双方未履行双務契約として、管財人が解除又は履行を選択し得る(同法61条1項)が、管財人は、労働契約上の使用者としての地位を承継している以上、管財人の上記の解除権は、解雇と性格づけられる。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利濫用となる(労働契約法16条)のであるから、この権利濫用法理は、管財人が行った本件解雇についても、当然に適用されることになる。
そして、本件解雇は、使用者の経営上ないし経済上の理由によって行われた解雇なのであるから、上記の解雇権濫用法理の適用に当たっては、権利濫用との評価を根拠付ける又は障害する考慮要素として、人員削減の必要性の有無及び程度、解雇回避努力の有無及び程度、解雇手続の相当性等の当該整理解雇が信義則上許されない事情の有無及び程度というかたちで類型化された4つの要素を総合考慮して、解雇権濫用の有無を判断するのが相当である。このことは、当該更生手続がいわゆる事前調整型(プレパッケージ型)の企業再建スキームとして利用されるものであるか否かにより結論を異にする根拠はないのであり、本件更生手続が機構の支援と会社更生手続を併用して事業廃止を回避した事前調整型企業再建スキームであることは、上記結論を左右するものではない

2 Xらは、Y社がワークシェアリング、グループ内外への出向、転籍等の解雇を回避できる有効な手段があったにもかかわらず、それらの措置を真摯に検討・実施せず、また、運行乗務員の専門性、特殊性に照らすと、希望退職募集及び再就職支援の期間が短く、支援の内容も極めて不十分であったと主張する
しかし、上記のとおり、Y社は、更生手続開始決定の前後を通じて、・・・相対的には、手厚い解雇回避努力を尽くしているとの評価が可能である。同年11月の時点で組合から提案されたワークシェアリングの内容は、一時的な措置で問題を先送りする性質のものであるし、上記の解雇回避措置を行わなかったからといって、解雇回避努力が不十分であると評価することは困難であるというべきである。したがって、上記Xらの主張は、上記判断を覆すものとはいえない。

3 本件人選基準のうち、Xらに適用されたのは「病気欠勤・休職等による基準」「目標人数に達しない場合の年齢基準」である。これらはいずれも、その該当性を客観的な数値により判断することができ、その判断に解雇者の恣意が入る余地がない基準であり、このような基準であるということ自体に、一定の合理性が担保されているということができる。

4 Xらは、年齢に基づく不利益な取扱いは、世界各国で法律により禁止されており、中高年齢者の雇用確保という政策的観点と併せて、本件人選基準のうち年齢の高い順番によるという基準は、世界標準から逸脱した不合理なものであるとも主張するが、我が国では、定年制を採ることが、格別、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律のように、事業主が定年制を採用することを前提とした立法も存することに照らせば、年齢に基づく基準が不合理なものであると評価することはできない。年齢の高い者から順に目標人数に達するまでを対象とするという基準を他の人選基準では目標人数を満たさない場合の補助的な基準とすることに合理性があることは上記のとおりであり、中高年齢者の雇用保障という政策的観点を考慮しても、上記判断を左右するものではない。

JALの整理解雇事件です。

以前にもJALの事件を紹介しましたが、いずれも解雇は有効と判断されています。

解雇75(日本航空(整理解雇)事件)解雇77(日本航空運行乗務員解雇事件)参照。

会社更生手続中ということもあり、労働者側とすれば、かなり厳しい裁判であることは明らかです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介152 出稼げば大富豪2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
出稼げば大富豪2 気づいた人は動きだした (調子ぶっこきシリーズ)
出稼げば大富豪2 気づいた人は動きだした (調子ぶっこきシリーズ)

アニキシリーズ第4弾です。

あと少しがんばってみます(笑)

さて、この本で、「いいね!」と思ったのはこちら。

ようするに天と地、どちらかしかない。極端な言葉を発することで、真ん中から遠ざかることができる」(272頁)

平均、中流なんかを美徳としとる奴に成功はないんや」(273頁)

いわゆる「言葉の習慣」について、アニキ流に説明しています。

「人間には能力の差はない。あるのは『習慣』の差だけ」

という考え方に基づけば、日頃から発している言葉が平均的であれば、結果も平均的になるという発想です。

マイナスの言葉ばかりを使う習慣ができている人は、やはり負のオーラが出ていることが多いです。

常にプラスの言葉を使うことによって、物事を意識的にプラス受信する習慣が身についている人は、問題が起こっても動じません。

問題が起こっても、すべてプラスに考える習慣ができているからです。

何が起こっても、プラスの意味付けができるような訓練をしている人は、いつもプラスのオーラが出ていますね。

同じ年代の経営者で成功している人たちは、こんな人ばかりです。 

だからこそ一緒にいたいと思うし、応援したくなるのです。

不当労働行為58(横浜自動車学校事件)

おはようございます 

さて、今日は、スト予定日に出勤した組合員に対する賃金控除と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

横浜自動車学校事件(神奈川県労委平成24年8月8日・労判1055号94頁)

【事案の概要】

X組合は、Y社に対し、平成22年6月、次回団交で誠意ある回答がない場合は24時間ストを行う旨通告した。

また、X組合は、Y社に対し、次回の団交次第でストを回避する可能性もあると伝えた。

他方、Y社は、スト予定日に教習予定の教習生にキャンセルの電話連絡を開始し、X組合に対し、スト回避の通告を受けても、組合員の就労は認められないと伝えた。

X組合は、ストの前日、Y社にスト回避を通告した。しかし、Y社は、ストの前日回避は認められないとするとともに、キャンセルした教習生に組合員らが教習予約の電話をかけるなら、組合員の就労を認めると提案し(組合は、これに応じなかった)、さらに、同日夕刻、組合員31名の業務を「不就業」と記載した「勤務スケジュール表」を掲示した。

Y社は、スト予定日に出勤し業務を割り当てなかった組合員の同日分の賃金を控除した給与を支給した。

【労働委員会の判断】

賃金控除は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件の場合は、確かにY社の今後の信用に関わるものとして、ストライキ当日の教習生のキャンセル作業を行ったことは不適切とはいえないとしても、それとストライキ回避後の組合員の就労を拒否することは別個の問題である。ストライキ当日に教習生が来校しない以上、Y社は組合員の就労を受け入れる意味がないとしても、それはY社のリスク回避の判断の結果であって、就労を拒絶する合理的な理由とはならないY社としては、組合員を受け入れて他の業務に就かせることも可能であり、仮に業務がなく賃金支払という負担だけが発生したとしても、それはY社の判断の結果として本来Y社が負うべきリスクがあり、組合員に負わせるべきものではない

2 なるほど、Y社は、組合がストライキ回避を通告した後に、組合に対して教習生への電話がけを手伝ってくれたら就労が可能となり得る旨を伝えているが、Y社の電話回線は8本しかなく、実際にストライキ回避後に組合員の協力を得て約150名の教習生に対し再予約の連絡をしたとしても、それ以前のY社による教習生へのキャンセルの連絡が12時間かかったという事実に鑑みれば、実際上の再予約は不可能だったといわざるを得ない。

3 以上のことからすれば、Y社による本件就労拒絶は、本来Y社が負担すべき組合員の就労受入れによる賃金支払を免れ、賃金喪失の不利益を組合員に負わせることを意図して就労を拒否するという、本件ストライキを計画したことに対する報復的な性格を否定できず、組合組織に打撃を与えることを意図して行われた不当労働行為に当たるといわざるを得ない

会社としては、とても厳しい判断です。

なかなか納得できないかもしれませんね。

教習生が来校しないときに、他の業務に就かせることも可能といいますが、実際、どんな業務があったのでしょうか? 

清掃とか・・・? 本来の予定されている業務でなくても、通常と同額の給与を支給しなければならないのでは、会社は納得できないでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介151 「調べる」論 しつこさで壁を破った20人(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、税理士K山先生と、鷹匠の「TORATTORIA IL Paladino」にランチに行ってきました。

写真は、「あさり、ズッキーニ、なす、いんげんのピリ辛トマトソース」です。

久しぶりにイルパラに行きましたが、やっぱりおいしいですね。

お客さんがいっぱいな理由がよくわかります。 

K山先生、ご馳走様でした。

今日は、午前中は、東京高裁での裁判ですが、電話会議です

午後は、浜松の裁判所で離婚調停です

午後は、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「調べる」論―しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書 387)
「調べる」論―しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書 387)

著者があらゆる業界の20人の人に話を聞いたことをまとめた本です。

内容自体は、あんまり「調べる」ことを中心とした内容にはなっていない気がします。

いろんな業界の話が聞けるという感じです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

知性の本質は、言葉をアウトプットすることにある。・・・高校までの勉強では、正確にインプットする能力が試されます。しかし、大学、そして社会で求められる知性はアウトプットの能力です。そこでは単に機械的に何かを学ぶだけでは足りません。就職活動でもエントリーシートに陳腐なことしか書けない人もいれば、人目を引く文章を書ける人もいる。この差はどこから来るのでしょうか。単なる知識や経験の差からではなく、むしろそれはアウトプットする能力の差から来ています。・・・言葉を使ってアウトプットすることで、はじめて自分の考えていることが明確になったり、ちゃんと物事を理解していなかったことがわかったりする。」(220~221頁)

哲学者の萱野稔人さんの言葉です。

「知性の本質は、言葉をアウトプットすることにある」 いいことばですね。

インプットは、アウトプットするために行うものです。

インプットをするときには、常に、アウトプットのことを考えながら行うわけです。

仕事等においては、知っているということそれ自体にはそれほどの価値はありません。

「知っていることをいかに表現するか」という視点がとても大切です。

もうこれは、日々の訓練しかないと思います。 ある日、突然、表現が上手になるものではありません。

それから、もう1つ。 逆の視点です。

有効なアウトプットをするためには、継続的にインプットをすることが必要になってきます。

「有効なアウトプットをするためにどのような知識を得る必要があるか」という視点もまた大切なのです。

インプットとアウトプットのバランスを常に意識するといいのではないでしょうか。

解雇87(クラブメッド事件)

おはようございます。

さて、今日は、勤務成績不良を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

クラブメッド事件(東京地裁平成24年3月27日・労判1055号85頁)

【事案の概要】

Y社は、フランスのパリに本社を置く国際的なバカンスサービス会社の日本法人であり、国内および海外の系列ホテルへの送客業務およびこれに付随する一般観光等の企画、作成、販売ならびに斡旋等の各種業務を行う会社である。

Xは、平成2年、Y社に入社した。

Y社は、Xを勤務成績不良を理由として解雇した。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、Xの勤務成績不良を理由とする解雇であるところ、このような解雇については、当該労働者の勤務成績が単に不良であるというレベルを超えて、その程度が著しく劣悪であり、使用者側が改善を促したにもかかわらず改善の余地がないといえるかどうかや、当該勤務成績の不良が使用者の業務遂行全体にとって相当な支障となっているといえるかという点などを総合考慮して、その有効性を判断すべきと解するのが相当である。したがって、本件解雇に関する就業規則所定の解雇事由「技能、能力が極めて劣り、将来業務習得の見込みがないとき」という文言も、このような観点からその該当性が判断されるべきである。

2 ・・・以上を要するに、従前、Xの勤務成績が芳しくなかったことは否めないものの、サマー2010の期間に至って一定の向上をみたものであるから、もとよりその勤務成績が著しく劣悪であるとはいえないし、改善の余地がないということもできない。したがって、Xについて、Y社の就業規則所定の解雇事由「技能、能力が極めて劣り、将来業務習得の見込みがないとき」に該当するということはできないから、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上も相当と認めることはできず、無効というべきである。

3 これに対し、Y社は、上記の成績の向上は、Xが受電回数を上げるため、特段の事情がない限り禁じられている時間外労働を連日行ったことによるものであり、X業務の能率向上によるものではなかった旨主張するところ、Y社の人事担当から各部門のマネージャーに時間外労働を禁じる内容のメールが送信されるなど、Y社において、時間外労働が禁止されていたことを裏付ける証拠も存する。
しかしながら、Xの上司は、Xの労働時間を把握し、その時間外労働の状況を認識していたと推認されるにもかかわらず、当時、それを問題視して禁止した形跡が認められないもので、このような事情に照らすと、実際、各部門において、真に時間外労働の禁止が徹底されており、他のスタッフが時間外労働を行うことなく業務を処理していたかについては、疑義があるといわざるを得ない。したがって、時間外労働を行っていたことをもって、Xの勤務能率が向上していなかったというY社の主張については、これを採用することができない。

4 Xは、Y社においては、全従業員に対し、基本給の2.5か月分の賞与が一律に支給されていたとして、本件解雇後も基本給の2.5か月分に当たる55万3750円の賞与請求権を有する旨主張する。なるほど、証拠によれば、Xに対し、2回にわたって上記金額の賞与が支給されていることが認められる。しかし、仮に、Xが主張するように、全従業員に対し2.5か月分の賞与が支給される事実が存したとしても、個別の雇用契約書や賃金規程等により、2.5か月分の賞与という点がXとY社との間の雇用契約の内容となっていたことを窺わせる証拠は存しない。したがって、Xが、本件解雇後も、Y社に対し、月例賃金のみならず賞与についても請求権を有するということはできず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。

勤務成績不良を理由とする普通解雇については、この裁判例でも示しているとおり、改善可能性が考慮されます。

一時的な成績不良をもって解雇をすると無効になる可能性が高いです。

もう1つ。

上記判例のポイント4は、参考になりますね。

賞与の請求は、実際には、なかなか認められません。

今回のケースのように、一律基本給の2.5か月分を支給されていたとしても、それをもって、契約の内容となるほど甘くはありません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介150 変な人の書いた世の中のしくみ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます かなり寒くなってきましたね。 精神を鍛えるにはちょうどいいです。
__
←先日、鷹匠の「つむらや」にお蕎麦を食べに行ってきました

写真は、「おにわそと」というセットです。

桜えびかき揚げ、生麩揚げ・鶏肉・椎茸煮、蕎麦もやし、かつおぶし、いその5種類のそばを少しずつ食べることができます。

たまに無性にお蕎麦を食べたくなるときってありませんか? 

事務所の近くにたくさんおいしいお蕎麦屋さんがあるので、最高です。

今日は、午前中は、裁判が2件入っています。

午後は、離婚調停1件と新規相談3件が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
変な人の書いた世の中のしくみ
変な人の書いた世の中のしくみ

これまで読んだことがない斎藤一人さんの本を読んでみることにしました。

有名な方ですが、なぜかこれまで手に取ることはありませんでした。

特に理由はありませんが。 

「私が今、伝えたいことは全部書きました」と帯に書かれていたので、とりあえずこの本にしました(笑)

一人さん、自然体な感じがして、とても好印象です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今の世界のしくみは、得をさせた人のところにお金が流れるようになってるんです。・・・今の時代で勝てる人というのは、人に得をさせることができる人なんです。会社に行けば会社を得させる。本を読んでいいことが書いてあれば、そのことを友達に教えてあげる。相手を得させることっていくらでもあるんです。
さらに、自分が知ってることを教えるのでも、愛想がよかったり、わかりやすかったりとか、いくらでも工夫ができるんです。ただ教えてくれる人より、教わりやすい人のほうがいいんです。だから、自分がお得な人間になれば、今の時代は正解なの。
」(123~124頁)

世の中のしくみをとてもわかりやすく書かれています。

このことがわかると、仕事や人間関係は、うまくいくようになります。

常に周りの人の「得」を考える。 

周りの人が喜ぶことをいっぱいする。

このように考えられる人のまわりには、同じように考える人が自然と集まってきます。

そうすると、周りの人が、自然に、自分の「得」を考えてくれるし、喜ぶことをいっぱいしてくれるようになります。

世の中のみんなが、「どうしたら、この人の喜ぶ顔が見られるんだろう」と考えながら生活できたら、最高ですよね。

不当労働行為57(京都府医師会事件)

おはようございます。 今年もラスト1か月ですね。 気合いを入れてがんばりましょう!!

さて、今日は、新会館への移転を機とする組合事務所・組合掲示板の貸与拒否と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

京都府医師会事件(京都府労委平成24年8月26日・労判1055号92頁)

【事案の概要】

Y社は、X組合と組合事務所および組合掲示板を貸与する旨の協定を締結し、旧会館内に事務所および掲示板を無償で貸与した。

平成18年頃、Y社は、新会館移転の方針を示し、X組合が新会館に組合事務所等を確保するよう要求した。

しかし、Y社は、20年12月、本件協定を21年6月末をもって解約すると予告した。

平成22年10月、新会館に移転したY社は、X組合に対して組合事務所の確保は困難であると通告し、組合掲示板を設置したが、X組合は、設置場所および大きさが要求と異なっているとして掲示板を使用しなかった。

【労働委員会の判断】

組合事務所を貸与しなかったことは不当労働行為にあたる

要求とおりの組合掲示板を貸与しなかったことは不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 Y社によるこのような便宜供与の廃止の目的、態様について検討すると、Y社は、組合事務所を貸与できない理由は、スペースが確保できなかったためであり、組合弱体化の意図によるものではないと主張する。確かに、Y社は設計担当の一級建築士に組合事務所の要望を伝えたが、延床面積が1割減少する中で全体から考えて設置は無理であると回答されたこと、Y社は、物品を新会館に収容しきれないため、賃料を支払って新会館外の倉庫に保管していることが認められる。
しかしながら、Xは設計前の段階から組合事務所の確保を申し入れてきたことが認められ、その意図さえあれば、単に要望として伝えるにとどまらず何らかの調整を行う余地はあったのではないかと考えられるにもかかわらず、設計担当の一級建築士に具体的に検討するよう指示をした形跡もうかがわれないこと、新会館移転後も空室はあり他の団体に対して新たに部屋の貸与を行った経過が認められること、また、Xは、書類等の収納スペースの貸与で足りる旨譲歩していたことが認められ、その程度のスペースの確保については、工夫の余地があるとあると考えられることからすれば、この主張は採用できない

2 そして、十分な説明も行わず、新会館においてXのためのスペースは一切認められないとの態度をとり続けていることに加えて、XとY社間においては平成7年から14年までの長期にわたる係争をはじめとする複数の救済申立て等の経過があったことや、団体交渉の中でY社側の出席者である理事らが「正直医師会と組合との関係が良好であるとはいいがたいよね」等と発言していたことが認められることも併せ考えると、Y社が組合事務所を貸与していないことは、Xを弱体化することも意図した法第7条第3号の支配介入に該当するものと判断される。

3 使用者が長期間継続した便宜供与を廃止した場合には不当労働行為に該当する可能性が生じるといえるが、Y社はXに対し、新会館においても、組合掲示板を貸与していることが認められ、Y社は便宜供与を廃止したとは認められないから、Y社の組合掲示板に係る対応は、法第7条第3号の支配介入に該当しないものと判断される。

組合事務所の貸与については、不当労働行為とされましたが、医師会とすれば納得がいかないところではないでしょうか。

単にスペースの問題ととらえると、当然、納得がいかないと思います。

理屈の上では、設計段階で、他のスペースを犠牲にしてでも、組合事務所を確保することを優先させるべきということになるのでしょうが、実際には、難しいところです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。