不当労働行為54(テルウェル西日本事件)

おはようございます。 また一週間がはじまりましたね! 今週もがんばっていきましょう!!

さて、今日は、うつ状態による長期欠勤を理由とする雇止めと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

テルウェル西日本事件(中労委平成24年7月18日・労判1053号92頁)

【事案の概要】

X組合員は、平成19年12月に開催されたY社と組合の団交に出席した頃から、休暇申請、賃金明細書、勤務実態、争議行為参加などをめぐり次第にY社と対立するようになった。

平成20年12月、組合は、X組合員がうつ状態になり年末まで欠勤する旨電話をかけ、その後、1月も欠勤すると電話をかけた。

平成21年2月中旬、Y社は、雇用期間が満了する同年3月31日限りでX組合員を雇止めにすると決定し、本人に通知した。

本件の争点は、本件雇止めが不当労働行為といえるか、である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 Y社がX組合員の雇止めを判断する上で根拠としていたのは、21.1.8診断書と21.1.23欠勤届の記載のみではないと考えられるのであって、X組合員が同年4月以降職場復帰することが可能であれば、X組合員がその旨会社に対し直接意思表示をすればよいだけであるにもかかわらず、同年2月中旬までに、そうした意思表示は行われなかった。つまり、X組合員は、同年3月31日に契約期間が満了することを承知していたのであるから、精神的健康状態が回復し、また就労の意思があるのであれば、雇用契約当事者であるX組合員から意思表示を行うべきであったと考えられる。ところが、組合はX組合員と会社との直接接触を遮るだけであった。X組合員の雇止めについて判断する前提としてX組合員の健康状態の把握に努めていた会社としては、X組合員の就労の意思及び可能性に関するX組合員との上記のような連絡状況をも勘案して雇止めの判断に至ったと考えられるのであり、会社がそのように勘案して、同年4月以降X組合員から安定的に労務を受領できないと考えたとしても無理はない

2 本件雇止めは、X組合員の欠勤の状況及び健康状態が芳しいものでなかったことを理由とするものであることは明らかであり、C組合員の組合活動への報復の意思ないし組合に対する弱体化の意図は認められない。したがって、本件雇止めは労組法7条1号に規定する不利益取扱いおよび同条3号に規定する支配介入には当たらない

 
雇止めの理由が合理的であると判断され、不当労働行為性は否定されました。

労働組合が、組合員と会社との直接接触を妨げるだけで、Xの健康状態、就労可能性について会社に対して伝達しなかったことも、雇止めが有効と判断された理由となっています。

参考になりますね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。