おはようございます
←先日、事務所の近くのお祭りに行ってきました。
テンションが上がり、たこやき、焼きとうもろこし、お好み焼きなどを買ってしまいました。
完全におなかいっぱいになってしまい、夜ごはんを食べられませんでした。
今日は、午前中に裁判が3件入っています。
午後は、新規相談が1件、打合せが2件入っています。
今日も一日がんばります!!
さて、今日は、中皮腫で死亡した孫請会社社員の遺族による損害賠償請求についての裁判例を見てみましょう。
中部電力ほか(浜岡原発)事件(静岡地裁平成24年3月23日・労判1052号42頁)
【事案の概要】
本件は、孫請会社である有限会社A工業の従業員としてY1社の浜岡原子力発電所においてメンテナンス業務に従事していたXが、腹膜原発悪性中皮腫により死亡したことについて、Xの遺族がY1社、元請会社のY2社、下請会社のY3社の安全配慮義務違反またはY1社が所有する工作物である浜岡原発の瑕疵によるアスベストばく露によって死亡したと主張して、Y1社らに対して、債務不履行または不法行為による損害賠償を請求した。
【裁判所の判断】
Y1社に対する請求はいずれも棄却
Y2社、Y3社に対しては、連帯して、5000万円強の賠償義務を認めた。
【判例のポイント】
1 安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随的義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般に認められるべきものである(最高裁昭和50年2月25日)。
そして、注文者と請負人との間において請負という契約の形式をとりながら、注文者が単に仕事の結果を享受するにとどまらず、請負人の雇用する労働者から実質的に雇用関係に基づいて労働の提供を受けているのと同視しうる状態が生じていると認められる場合、すなわち、注文者の供給する設備、器具等を用いて、注文者の指示のもとに労務の提供を行うなど、注文者と請負人の雇用する労働者との間に実質的に使用従属の関係が生じていると認められる場合には、その間に雇用関係が存在しなくとも、注文者と請負人との請負契約及び請負人とその従業員との雇用関係を媒介として間接的に成立した法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入ったものとして、信義則上、注文者は当該労働者に対し、使用者が負う安全配慮義務と同様の安全配慮義務を負うものと解するのが相当である。これは、注文者、請負会社及び下請会社と孫請会社の従業員との間においても同様に妥当する。
2 安全配慮義務の前提として、使用者が認識すべき予見義務の内容は、生命・健康という被害法益の重大性に鑑み、安全性に疑念を抱かせる程度の抽象的な危惧であれば足り、必ずしも生命・健康に対する障害の性質、程度や発症頻度まで具体的に認識する必要はないと解される(福岡高裁平成元年3月31日)。
・・・アスベストの粉じんは、これを人が吸引した場合には、悪性中皮腫等を発症させて人の生命・健康を害する危険性があるところ、Y2社及びY3社は、上記のとおり、これを予見することが可能であったといえるから、労働者が石綿の粉じんを吸入しないようにするために万全の措置を講ずべき注意義務を負担していたと解される。
具体的には、Y2社及びY3社には、アスベストが使用されている材料をできる限り調査して把握し、A工業の現場作業指揮者や作業員であるXらに対して周知すべき注意義務がある。また、アスベストの人の生命・健康に対する危険性について教育の徹底を図り、Xらに対してマスク着用の必要性について十分な安全教育を行うとともに、アスベスト粉じんの発生する現場で工事の進行管理、作業員に対する指示等を行う場合にはマスクの着用や湿潤化を義務付けるなどの注意義務があった。
3 工作物責任は、工作物が通常有すべき安全性を欠くときに認められ、工作物の構造、用法、場所敵環境及び利用状況等の事情を総合考慮して具体的個別的に判断すべきであると解される(最高裁昭和56年12月16日)。
・・・シール材はポンプに配管を連結する箇所等に使用される原子力発電所において必須の部品であり耐熱性、強度などの点でアスベスト含有製品の使用が適していること、シール材については現在においても法令によってアスベストの使用禁止から除外されていること、アスベスト非含有の適当な代替品が当時なかったことが認められる。そうすると、アスベスト非含有の代替品を使用することは当時としては不可能ないし著しく困難であったといえるから、社会通念上、工作物が通常有すべき安全性を欠くということはできない。
地元静岡の裁判例です。
上記判例のポイント1の安全配慮義務については、応用可能性があり、参考になりますね。
工作物責任は否定されています。