おはようございます。
さて、今日は、語学教室外国人講師に対する雇止めの有効性に関する裁判例を見てみましょう。
リンゲージ事件(東京地裁平成23年11月8日・労判1044号71頁)
【事案の概要】
Y社は、リンガフォン事業、グローバルスタディ事業等を事業内容とする会社である。
Xは、平成10年、A社と期間1年の雇用契約を締結し、英会話の授業等の業務に従事した。
同契約は8回にわたり更新された。その後、Y社は、A社は、A社から事業譲渡を受け、その事業を引き継いだ。
Y社における組合の組合員はXを含め3名となり、組合が再結成され、Xが執行委員長に就任した。
Y社は、組合活動再開の動きの中で、各校の管理者に宛てて、本件組合の組合員3名について、「どんなに小さいことでも気になる行動は報告」すること等を求める内容の電子メールを発出した。
その後、Xは、レッスン中、生徒に自分の腹部を触らせる等の問題行動、不適切行為、業務命令違反が数多く発覚した。そのため、Y社はXに対して、3度にわたり警告書を発出したが、Xは、同警告書に署名することを拒否した。
Y社は、平成20年11月、Xに対し同年12月の期限経過をもって本件契約が更新されない旨を通知した。
【裁判所の判断】
雇止めは無効
【判例のポイント】
1 本件雇止めを受けるまで10年間にわたり、A社ないし同社から事業譲渡を受けたY社において雇用され、その間、A社とは8回、Y社とは1回の契約更新を経ているXが、本件契約が更新されると期待することに合理性があるとして、本件雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されるものと解するのが相当である。
2 A社及びY社においては、外国人講師の契約更新時に、当該講師のレッスン内容や適格性に応じた契約内容の見直しが一定程度予定されていたものと認められるから、本件雇止めに解雇権濫用法理の類推適用が認められるとは言っても、その際の判断基準は、通常の期間の定めのない契約における解雇の場合に比して、必ずしも厳格なものであることを要しないと解するのが相当である。
3 本件雇止めは、組合員のみをターゲットにした情報収集によって得られたネガティブ情報に基づいて行われたものであり、当該情報収集がなければ、本件雇止め自体が存在しなかったという関係にあるものと認められるから、本件雇止めが社会的に相当なものであると言えるかについては重大な疑問が存すると言わざるを得ない。
4 本件雇止めについては、厳密な意味で不当労働行為に該当するかはともかく、Xが本件組合の組合員であったことに起因して課せられた不利益であると評価せざるを得ず、そうであるとすれば、本件雇止めは、社会的に相当なものであるとは認め難いから、無効と言うほかはない。
雇止めを無効と判断した理由が変わっていますね。
情報収集のしかたが、相当でないことを理由としています。
このような理由から雇止めや解雇が無効になる可能性があるということは頭に入れておきたいですね。
有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。
事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。