おはようございます。
さて、今日は、複数組合間の不平等取扱いと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
大阪兵庫生コン経営者会事件(中労委平成24年1月18日・労判1042号92頁)
【事案の概要】
Xは、大阪府および兵庫県内の生コンクリート製造会社約70社を会員とする団体である。
Xは、会員各社の平成21年賃金改定等に関して、Y組合およびZ組合と共同交渉を行うとともに、その他3つの組合との間でそれぞれ共同交渉を行った。
Xは、交渉過程で賃上げの有額回答を行うためには、大阪広域生コンクリート協同組合(広域協)が承認可決
した(1)限定販売方式の廃止および(2)ブロック対応金の廃止の施策への労働組合の協力理解が不可欠と考え、これら施策に協力する姿勢を示した組合には、4月14日に有額回答を行う一方、2労組が施策に協力する姿勢を示さなかったとして同月17日まで有額回答をしなかった。
【労働委員会の判断】
組合間で賃上げの回答時期に差を設けたことは不当労働行為に該当する
【判例のポイント】
1 Xは、別労組らに有額回答した同月14日に2労組とも4時間半にわたり交渉しながら、有額回答の条件を明らかにすることはなく、これらについての2労組の考え方を確認することもなく、「先が見えたら同じ回答をする」などと曖昧な回答に終始していた。そして、2労組が、ゼネコンや自治体を回り、広域協を守るために活動していると述べたのに対しても、Xは、具体的な理由も述べず有額回答できない旨繰り返すなど、その交渉態度は、2労組の理解を得るに足る説明や説得を行ったとはいえず、誠実な対応を通じて2労組との間の合意達成を模索する姿勢に欠けるものといわざるを得ない上、およそ2労組に対し別労組らと同時期に有額回答することを目指していたともいえない。
このようなXの共同交渉における対応は、有額回答の時期につき別労組らと2労組とを合理的理由もなく差別扱いしたものであり、使用者の中立保持義務に反し、誠実交渉義務を尽くしたものとはいえない。
2 ・・・以上に判断したとおり、21年度賃上げに関する2労組との共同交渉において、Xが、別労組らに行った有額回答を行わず、回答時期に差を設けたことは、労組法7条2号及び3号の不当労働行為に当たるとした初審判断は相当である。
複数組合間の中立保持義務に関する判断です。
合理的な理由なく組合により扱いに差をつけると、このような判断につながります。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。