Monthly Archives: 2月 2012

本の紹介55 知恵-清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか
知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか

タイトルがいいですね。 そそられてしまいます。

ルールに縛られず、知恵を使いなさい、という本です。

知恵とは、状況に応じて判断する能力をいうそうです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事に最大の満足を見出すのは、自分の仕事を『天職』と見ている人たちだ。彼らにとって、仕事は人生で一番大事な部分で、仕事をしていることが嬉しく、自分のアイデンティティで生死にかかわるほどの場を占め、自分の仕事が世の中をよりよい場所にしてくれると信じ、友人や子どもにもこうした仕事に就くように勧める。自分の仕事が天職だという人は、仕事で大きな自由裁量をもつ。そしてその自由裁量をうまく使う知恵を備えていることが-意味のある仕事に必要な挑戦ややり遂げるために-高いレベルの満足を得るのに不可欠となる。」(364~365頁)

・・・だからこそ自由裁量を骨抜きにし、知恵を脅かすルールやインセンティブに抵抗することが重要なのだ。だからこそ知恵を排除しようとしている機関を改革する必要があるのだ。」(371頁)

私は、今の仕事を「天職」かどうか、あまり考えたことがありませんが、仕事が大好きなのは間違いありません。

この本を読んでいると、今の仕事が天職なのかな・・・と思ってしまいます。 よくわかりませんが。

ただ、情熱を持って仕事をしていない人とは一緒に仕事をしたくありません。

顔つき、発言、決断力、実行力といった点で、パワーのある人とだけ一緒に仕事をしたいです。

そうでない方と仕事をすると、自分のパワーが吸い取られるような感じがしていますのです。

さて、この本では、あまりルールに縛られずに、「知恵」を使いなさい、と言っています。

私も、同じような意見を持っています。

ルールは、最低限を画するものであって、画一化を図ることが目的ではありません。

うちの事務所のスタッフには、かなり広い裁量を与えています。

スタッフが、自ら考えて、それでいいと思ったのなら、あまりうるさいことは言いません。

ルール通りにしか動けなくなると、ルールがない場合、あたふたしてしまうからです。

失敗しながら少しずつ向上していけばいいと思います。

最初から失敗を過度に恐れていると、びくびくしてのびのび仕事ができません。

・・・というのがうちの事務所の教育方針です。

有期労働契約25(鈴蘭交通事件)

おはようございます。

さて、今日は、60歳定年後の定時制乗務員の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

鈴蘭交通事件(札幌地裁平成23年7月6日・労判1038号84頁)

【事案の概要】

Y社は、タクシー事業を営んでいる会社である。

Xらは、平成21年12月当時、定時制乗務員としてY社に勤務していた。

定時制乗務員に対する給与は、稼働率の50%という完全な歩合給であった。

Y社は、平成21年12月、書面をもって、Xらに契約期間満了を理由に雇止めとする旨通知した。

なお、X1は、正社員として14年間勤務した後、平成18年11月に満60歳の定年となったが、改めて定時制乗務員として労働契約を締結し、2回の契約更新を経ていた。

Xらは、本件雇止めは解雇権濫用法理により無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社が本件雇止めにおいて前提とした必要な人員削減数は、平成21年12月中旬時点での乗務員数と、その時点での車両数を20台減車した場合の必要な乗務員数を比較して決せられたものであり、乗務員の自然減が一切考慮されていないことは明らかである
しかして、本件事業譲渡による10台の減車のみでは、遊休状態にあった営業車を削減すれば足り、本件雇止めの必要は全くない。そして、新法減車は、平成21年12月の段階では減車の時期や台数は具体化していなかったのであるから、Y社としては、協議会での議論の推移や他社の動向、例年25名ほども出る自主的な退職者の状況を勘案しつつ、減車の時期と台数が具体化した段階で、必要な措置をとれば足りたはずである。平成21年12月の段階で、しかも自発的な退職者が出ることを一切考慮しないまま行われた本件雇止めは、必要性と合理性を欠いていたものといわざるをえない

2 現に、Y社においては、本件雇止めが完了した平成22年12月までに、24勤の乗務員22名が退職し、24勤者換算で29.5名が不足する状態になったのであり、結果的に見れば本件雇止めは、少なくとも余剰人員対策としては無意味であったことになる。この点、証拠中には、実際の自然退職者数がY社の想定より多かったとするものがあるが、Y社は、もともと自然数を全く考慮しなかったのであり、採用できない。

3 なお、乙第68号証によれば、事業譲渡と新法減車で17台の削減をした平成22年4月の段階では、遊休車両が0.5台となって、乗務員の過不足がほぼなくなり、その時点では本件雇止めが功を奏した形にはなっている。しかしながら、本件雇止めに伴い、Y社は乗務員募集を停止し、年末年始の繁忙期を、遊休車を抱えたまま、増員をしないばかりか、かえってXらを雇止めにすることで機会損失を増加させたのであり、札幌におけるタクシー事業の閑散期である4月に遊休車を最小化したとしても、これをもって本件雇止めの結果が合理的であったと評価することはできない。

4 以上によれば、本件雇止めは、利益の向上の見込みがあるとした判断に合理的裏付けが欠けていた上、新法減車の時期や台数が不確定な中、自然退職者が出ることを一切考慮せずに行われたものであり、必要性と合理性を欠くものであったといわざるをえない。これは、解雇であれば解雇権の濫用に相当するものである

5 Xらの労働契約が期間1年の有期雇用であるとのY社の主張を前提としても、解雇権濫用法理の類推によって、XらとY社との契約期間満了後における法律関係は、従前の労働契約が更新されたものと同様のものとなる(最判昭和61年12月4日判決)。このことは、本件雇止め後、再度契約期間が満了した後においても同様と解される。したがって、XらとY社とは、定時制乗務員としての地位を現在まで継続して有していることとなり、本件雇止め以降の得べかりし賃金についても、労働の提供はしていないものの、これは無効な本件雇止めをしたY社において責めに帰すべき事由があるので、これを請求することができる(民法536条)。

上記判例のポイント1や4を読むと、結論としてはこうなりますね。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

本の紹介54 ハーバードからの贈り物(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
ハーバードからの贈り物 (Harvard business school press)
ハーバードからの贈り物 (Harvard business school press)

バーバード・ビジネススクールの教授の最終講義をまとめた本です。

10年以上前の本ですが、もう一度読んでみました。

複数の教授たちが、学生に伝えたいことを語っています。

この本で、「いいね!」と思ったのはこちら。

今一度、成功という言葉の意味を考え直してほしい。高い山の上に巨大な顔が刻まれなくても、リーダーになることはできる。成功したかどうかの尺度を、いかに履歴書を磨き上げるかではなく、あなたが周囲の人びとにどんな影響を与え、その人の生活にどんな変化をもたらしたかに置くことだ。成功という名の勲章に振り回れるのをやめ、あくまでも謙虚なリーダーでありつづけてほしい。」(43頁)

最近、私と同い年の社長に出会いました。 

表現方法は違えど、思っていることは驚くほど同じです。

同世代で、志の高い方に出会うと、嬉しくなります。

成功したかどうかの尺度は、「周囲の人びとにどんな影響を与え、その人の生活にどんな変化をもたらしたかに置く」。

周りの人たちに影響を与えるためには、「人間力」をつけなければいけません。

本の紹介53 カテゴリー・イノベーション(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
カテゴリー・イノベーション―ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ
カテゴリー・イノベーション―ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ

コトラーさんの言うところの「ラテラル・マーケティング」に近い発想です。

本の帯にはこう書いてあります。

イノベーションで、既存カテゴリーの魅力をなくす新カテゴリーを創出し、それを代表するブランドになる。競争の激しい市場で、競争をせずに事業を成長させる唯一無二の新戦略論。

読んでみての感想ですが、「唯一無二の新戦略論」という程のことではありません。

要するに、題名にもなっているとおり、カテゴリーを再定義し、その上で、競合他社に対する参入障壁をつくるという戦略です。

問題は、いかにして、競合他社に対する参入障壁を構築するか、です。

答えは、この本に書いてあります。

いつも書いていますが、知識を持っていても、それを具体化する応用力と実行力がないと、結局、何も変わりません。

単なる物知りおじさんです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ブランドが将来的にもレレバンスを維持するためには、新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーと結び付く必要がある。そのカテゴリーの名前が出たときに、そのブランドが思い浮かぶようにするのだ。そのようなつながりやレレバンスが確立できていないと、ブランドはその新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーの定義に影響を与え、管理することはできない。顧客が購入を検討するときに、そのブランドが考慮される選択肢のなかで圧倒的に強い立場になるような強い結び付きは、競合企業にとって手ごわい障壁となる。」(292頁)

「そのカテゴリーの名前が出たときに、そのブランドが思い浮かぶようにする」というところがミソですね。

弁護士業界で考えてみましょう。

取扱分野でカテゴリーを捉えると、「交通事故といえば」「離婚といえば」「相続といえば」というカテゴリーで、一番初めに思い浮かぶ事務所をつくるということです。

これはとてもわかりやすいです。

取扱分野以外にもカテゴリーを捉えることができます。

例えば、「無料法律相談をやっている法律事務所といえば」「ワンストップで解決してくれる法律事務所とは」「価格が他とは比較にならない程安い法律事務所とは」などが考えられます。

このようなカテゴリーの中で、ご相談者が真っ先に思い浮かぶようにならなければいけません。

問題はここからです。

どのようにして、ブランドをつくり、継続的に維持していくか、です。

ここが大きなポイントであり、アイデアの出しどころですね。

ここでは、私の考えは書きません。

うちの事務所で実際にやっていきますので、それをご覧ください。

毎日、アイデアがあふれてきます。

事務所スタッフのみなさん、僕の思いつきに付き合ってくれて、本当にありがとう。

賃金42(あけぼのタクシー事件)

おはようございます。

さて、今日は、解雇期間中の賃金の中間収入に関する最高裁判決を見てみましょう。

あけぼのタクシー事件(最高裁昭和62年4月2日・労判506号20頁)

【事案の概要】

Y社は、旅客運送事業を営む会社である。

Xらは、いずれもY社にタクシー乗務員として雇用された従業員である。

Xらは、タクシー従業員で構成する労働組合の執行委員長や書記長であった。

Y社は、中傷ビラの配布等を理由として、昭和51年8月、Xらを懲戒解雇した。

Xらは、本件解雇の無効と解雇期間中の賃金等の支払を求めた。

第1審は、本件解雇は、不当労働行為で無効と判断し、解雇期間中の賃金については、平均賃金の6割分を確保してそれ以外の賃金分(平均賃金の4割分および一時金)からの中間収入控除を認めた。

これに対し、控訴審は、懲戒解雇の無効は維持しつつ、平均賃金の4割分からの控除のみを認めて一時金からの控除を否定した。

Y社は、上告し、一時金について、使用者は労働基準法26条による支払義務もないので中間収入控除につき限度額の適用は受けず、全額が損益相殺の対象となるべきであると主張し争った。

【裁判所の判断】

破棄差戻し

【判例のポイント】

1 使用者の責めに帰すべき事由によって解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益を得たときは、使用者は、右労働者に解雇期間中の賃金を支払うに当たり中間利益の額を賃金額から控除することができるが、賃金額のうち労働基準法12条1項所定の平均賃金の6割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁止されているものと解するのが相当である

2 したがって、使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち平均賃金額の6割を超える部分から当該賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に得た中間利益の額を控除することは許されるものと解すべきであり、中間利益の額が平均賃金額の4割を超える場合には、更に平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(労働基準法12条4項所定の賃金)の全額を対象として利益額を控除することが許されるものと解せられる

3 そして、賃金から控除し得る中間利益は、その利益の発生した期間が右賃金の支給の対象となる期間と時期的に対応するものであることを要し、ある期間を対象として支給される賃金からそれとは時期的に異なる期間内に得た利益を控除することは許されないものと解すべきである。

4 中間利益の控除が許されるのは平均賃金所定の基礎になる賃金のみであり平均賃金算定の基礎に算入されない本件一時金は利益控除の対象にならないものとした原判決には、法律の解釈適用を誤った違法があるものといわざるを得ない。

まあ、そういうことです。

和解で終わる場合は、ここまでの話は出ないですが、判決まで行くと、中間利益の控除の問題が出てきます。

労働事件では基本中の基本ですのでしっかり押さえておきましょう。

詳しくは顧問弁護士からレクチャーを受けましょう。

本の紹介52 マーケティング10の大罪(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
マーケティング10の大罪
マーケティング10の大罪

コトラーさんの本です。

10年程前の本ですが、今読み返しても、全く古さを感じさせません。

題名からもわかるとおり、この本では、「マーケティングでは、こういうことをやっちゃだめよ」ということを掲載し、その対処法が解説されています。

コトラーさんの本は、これまでも何冊か読んできましたが、私のような素人が読んでも、とてもわかりやすいです。

事務所の経営をしている上で、非常に参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

これまでは『ニーズを見出し、ニーズを満たす』ことがマーケティングだとされてきた。このような企業は市場主導型企業(market-driven firm)ということができる。だが、無数の製品があふれ、ほとんどのニーズが満たされた現在、マーケティングの直面する課題は、いかにして新たなニーズをつくり出すかということである。この難問に挑む企業は市場先導型企業(market-driving firm)と呼ぶことができよう。・・・市場先導型企業は新たな価値提案と新たなビジネス・システムを創出することで、業界に革命をもたらす。 ・・・競合他社の多くが、新たに登場した価値提案を模倣するだろう。だが、ビジネス・システムを模倣しようとしても、たいていは失敗してしまうものだ。」(160~161頁)

私の当面の目標は、静岡県において、栗田勇法律事務所を「市場先導型事務所」にすることです。

法律事務所として、これまでになかった新たな価値提案と新たなビジネス・システムを創出していきたいです。

話がでかくなりすぎているように思いますが、目標なんて、こんな感じでいいと思っています(笑)

うちのスタッフとなら、できる気がします。

よくブログに書いているのですが、若手弁護士全員が、「業界に革命をもたらす」くらいの勢いで仕事をしなければいけないと思っています。

年齢や経験の壁を軽く越えるくらいの情熱を持って、仕事をしていきたいと思います。

本の紹介51 巨大企業に勝つ5つの法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
巨大企業に勝つ5つの法則 (日経プレミアシリーズ)
巨大企業に勝つ5つの法則 (日経プレミアシリーズ)

なんだかそそられる題名です。

巨大企業に勝つ5つの法則が本の表紙にいきなり書かれています(笑)

一、 誰もが「無理だ」と主張することを実行する

二、 身の丈を超える目標を掲げる

三、 劣勢であることを強みにする

四、 「変人」を重視する

五、 サムライをリーダーにする

5つ目の法則は、中身を読まないとなんのことかわかりませんが。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局のところ、意思決定の迅速化を実現するうえでの要は、最終意思決定権者の意思決定のあり方にかかっている。つまり、いかにしてこの最終意思決定権者が腹をくくれるかにある。」(180頁)

リーダーが腹をくくれるかどうかは、責任を取る、腹を切る覚悟があるかどうかである。つまり、その人が武士であること、サムライであることに帰結する。決断はリーダーの仕事である。」(181頁)

自分がトップになって仕事をしていると、「決断」することがいかに重要であるかがよくわかります。

決断力がある人と仕事をしていると気持ちがいいです。

優柔不断な人と仕事をしていると、じれったくなってきます。

こういう人とはあまり一緒に仕事をしたくありません。

決断力があるかどうかは、決定する権限を与えれば、すぐにわかります。

その決断が正しいかどうかは問題ではありません。

後から、あのときの決断が正しかったかどうかがわかるだけです。

この本でも書かれていましたが、決断力と経営の迅速化は密接に関連しています。

手前味噌ですが、現在の私の事務所では、何か新しいことを始める際、決断から実行までがめちゃくちゃ早いです。

これ以上、早くすることは不可能ではないかと思うくらい早いです。

また、スタッフがとても優秀なので、私が「これ、やりたい!!」と言うと、たいてい実現してくれます。

今のスタッフとなら、できないことなど存在しないのではないかと思っています。

私自身の能力はたかが知れていますが、事務所全体の力は、相当なものだと自負しています。

みなさんを幸せにできるように、今日も、仕事、がんばります。 

本の紹介50 ホワイトスペース戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ
ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ

帯に「ハーバード・ビジネス・レビュー誌マッキンゼー賞を受賞」と書いてあります。

なんだかよくわからないですが、すごそうだったので買ってみました。

タイトルからすると、「ブルーオーシャン戦略」的な話なのかな、と思っていましたが、言わんとしているのは、サブタイトルにもあるように、ビジネスモデルの『空白』=ホワイトスペースをねらえ、ということです。

この本を読んだからといって、いいアイデアが浮かぶわけではありません

この本で「いいね!」と思ったのは、こちら。

進歩が起きるときは、いつも同じパターンが繰り返される。最初は、無視される。その後は、頭がおかしいと言われる。次は、危険だと言われる。やがて、沈黙が生まれる。そして気がつくと、誰も反対を唱えなくなっている。」(229頁)

いい言葉ですね。

三木谷社長が、楽天市場をはじめたときも、こんな感じだったようですね。

「インターネットで買い物なんて流行るわけがない。やめとけ。」と。

今では、ネットショッピングに誰も異論を唱えません。

僕も早く頭がおかしいとか危険だと言われたいです。

まだまだですね。

いきなり大きなことはできませんので、小さなイノベーションを繰り返すしかありません。

がんばります。

本の紹介49 天才!成功する人々の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
天才! 成功する人々の法則
天才! 成功する人々の法則

この本のもともとの題名は、「OUTLIERS」です。

「OUTLIER」とは、外れ値のことで、「中心やその近くの集団から、著しくかけ離れた地点や、まったく異なる分類に属する存在」を指します。

少し前の本ですが、本棚に並んでいるのが目に留まり、もう一度読んでみました。

この本で「いいね!」と思ったのは、こちら。

成功とはまた、人間が自分のために行う決断や努力の単純な総和でもない。それはむしろ贈物(ギフト)である。アウトライアーは好機を与えられた者、そしてそれをつかむ強さと平常心とを兼ね備えた者だ。」(303頁)

著者は、さまざまな成功者を例に挙げて、このような結論を導いています。

そして、「よりよい世界を築くためにわれわれに求められることは、・・・すべての人間に好機を与える社会を築くことだ」(304頁)と訴えます。

話が大きくなりすぎますので、自分の身近な問題として捉えることにします。

著者の考えでは、成功する(何を成功と考えるかは置いておく。)ために必要なものは、

(1)決断や努力

(2)チャンス

(3)チャンスをつかむ強さと平常心

ということのようです。

チャンスさえ与えられると、ぐんぐん伸びる方っていますよね。

チャンスが回ってきたときに、力を発揮できる方と一緒に仕事をしたいです。

チャンスが回ってくるのを待ちつつ、そのときに備えて、日々準備をする。

「俺には全然チャンスが回ってこない」と嘆く前に、たくさんやるべきこと、できることがあると思います。

むしろ、周りの方からチャンスをいただけるように日々、精進をするという感じでしょうか。

僕も「こいつに任せてみよう」と思われるように、毎日、フルスロットルで仕事をしています。

賃金41(医療法人共生会事件)

おはようございます。

さて、今日は、賃金減額の合意に関する裁判例を見てみましょう。

医療法人共生会事件(東京地裁平成23年4月28日・労判1037号86頁)

【事案の概要】

Y社は、医療法人であり、北海道にG病院を開設している。

Xは、医師である。 Xは、平成21年8月、Y社を退職した。

Y社は、Xに対し、平成19年9月分から平成20年5月分の賃金として、各月120万円を支払った。

Y社は、Xに対し、平成20年6月分から平成21年8月分の賃金として、各月75万円を支払った。

Xは、Y社に対し、平成20年6月分から平成21年8月分までの各月120万円の賃金と支払い済み額75万円との差額を請求した。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、平成20年6月、E及びDをして、Xの賃金を120万円から75万円に減額することの申入れを行い、Xは、その後、Y社から、同月分の賃金からXが退職する平成21年8月分の賃金まで一貫して月額75万円の支払を受け、その間、これらの賃金の支払額について、Y社に何ら異議を述べていないことが認められる。このことからすると、Xは、同日ないしその後同日に近い日に、上記申入れを受け容れたものと推認することができる。

2 この点について、Xの妻の陳述書等には、Xらは、賃金減額を承諾したことはなく、賃金減額に合意しないと
解雇される不安があり、退職後に請求をしようと考え、我慢することにした旨の陳述等がある。
しかし、この陳述等は、上記事実経過に照らして不自然であり、また、Xの雑記帳をみても、上記陳述等を裏付けるような記載はなく、かえって、同雑記帳の記載内容は、賃金減額を受け入れた後のXの気持ち等が書かれたものと解されることからすると、にわかに信用することができない

以上により本件賃金減額合意の成立を認めることができる。

本件では、賃金減額の合意の有無が問題となっています。

Xは、Y社に対し、賃金減額について「何ら異議を述べていない」ことから賃金減額の申入れを受け入れたと判断されています。

実際には、いろいろな事情があったのだと思います。

ただ、それが証拠として残っていないというだけのことです。

X側が、錯誤無効や詐欺取消しなどの主張をしていることからもわかります。

会話が録音されていれば、状況は変わったでしょうか・・・?

兎にも角にも、賃金減額事案は、事前の対応を誤るとたいてい無効となります。必ず事前に顧問弁護士に相談をしましょう。