Daily Archives: 2011年9月7日

労災46(いなげや事件)

おはようございます 同期の弁護士が無事出産しました Tちゃん、おめでとう。

写真昨夜は、司法書士のS先生とごはんを食べながら、事務所経営について語りました

特に業務の進捗管理、顧客管理についてどのようなシステムを構築すべきかを話しました。

←魚弥長久。 ここもおいしいです。 そんなに高くありません。

今日は、午前中、離婚調停が入っています。

お昼は、顧問先のAさんと食事をしながら、公益財団法人について話し合います。

午後は、刑事事件の打合せが1件入っています。

その後は、書面作成です

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、過労自殺に関する裁判例を見てみましょう。

いなげや事件(東京地裁平成23年3月2日・労判1027号58頁)

【事案の概要】

Y社は、スーパーマーケットチェーンを中心とした生鮮食品・一般食品・家庭用品・衣料品等の小売業等を目的とする会社である。

Xは、大学卒業後、平成11年4月にY社に正社員として入社し、死亡時、鮮魚部チーフとして勤務していた。

Xは、平成15年10月、自殺した。

Xの妻は、三鷹労基署長に対して、Xが精神障害を発病して自殺したのは過重な業務に従事したことに起因するものであると主張し、遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、いずれも支給しない旨の処分を受けたことから、その取消を求めて提訴した。

【裁判所の判断】

三鷹労基署長による遺族補償給付等不支給処分は違法である。
→業務起因性肯定

【判例のポイント】

1 Xの手帳については、X自身が業務に関して日々記録していたものであり、業務の有無や内容について一応の信用性があるというべきであり、タイムカード外労働時間についても、これを根拠としている部分があるが、家族の記憶については、過去の長期に渡る出来事に係るものであるから、一般に、その信用性は、必ずしも高いとはいえないし、X妻の日記の記載及びこれと一致する家族の記憶についても、Xの外出の事実、出発・帰宅状況等の生活状況全般については一応の裏付けとするには足りないというべきである。また、通話記録及び家族による聞き取り結果については、Xが本件会社関係者と通話した事実及びXに電話で仕事に関する相談などをしていた事実がうかがえるが、通話記録にある時間帯にどのような内容の会話をしたか個別に特定することはできず、結局、Xの就労の事実との関連性が不明であるから、具体的な労働時間の裏付けとするには足りないといわざるを得ない。さらに、給油記録についても、Xが当該時刻に自宅付近にあるガソリンスタンドにおいて給油した事実を認めることができるが、Xの就労の事実との関連性が不明であり、具体的な労働時間の裏付けとするには足りないというべきである。

2 Xの業務について、A店への移動後短期間でのB店への移動と同時に、新任チーフへの就任、新装開店準備業務の担当等といった出来事の重なり、チーフ就任に伴う業務の質的・量的な増加に加えて、自身の人事考課の重要な要素ともなる新装開店後の売上増を期待される立場に置かれたことに伴う強度の精神的プレッシャー、周囲の支援状況、長時間労働による疲労の蓄積等を総合的に検討すれば、その他の原告指摘にかかるその他の業務上の出来事について検討を加えるまでもなく、Xの本件疾病発病前の業務の心理的負荷の創業評価は、「強」であるとするのが相当である。

3 以上のとおり、Xの本件疾病発病前の業務の心理的負荷の総合評価は「強」であり、その他精神障害の発病につながる業務以外の心理的不可や個体側要因もないのであるから、判断指針・改正判断指針によっても、Xの本件疾病発病が同人の業務に起因するものであると認めることができる。

参考になるのは、判例のポイント1です。

本件では、タイムカードに記録されていない労働時間があると原告が主張し、手帳や日記、携帯電話の通話記録等を提出しましたが、裁判所は採用しませんでした。

そして、「平成15年当時はタイムカードの打刻時刻いかんにかかわらず一律の時間外手当しか支給していなかったことからすれば、店長が従業員に対してタイムカードを業務終了よりも早く打刻するように指示する理由もなかった」として、タイムカードの打刻に基づいて、労働時間を算定しています。

判決の結果には影響していませんので、本件に関してはいいのですが、いろいろなことを考えてしまいます。

本当にそうなのかな・・・。