管理監督者23(アイマージ事件)

おはようございます。

さて、今日は、昨日に引き続き、管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

アイマージ事件(大阪地裁平成20年1月14日・労経速2036号14頁)

【事案の概要】

Y社は、カラーコピーサービス業務及びコンピュータのプリントアウトサービス、広告、出版及び印刷業等を営む会社である。

Xは、Y社の従業員としてコピーサービス店の店長をしていた。

Xは、Y社を退職後、Y社に対し、未払時間外手当の支払を請求した。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定

付加金の支払いは命じない

【判例のポイント】

1 管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあり、そもそも労働時間の管理になじまない者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきである。
Y社の主張するXの待遇に関する点は、いずれもXが本件店舗の店長であったことによって説明することも可能なものである。Xは、店長であるといって、その権限は、本件店舗の3階部分に及んでいたことをうかがわせる証拠はなく、1階部分に限定されていたものと推認される。また、Y社と強い結びつきがあり、Y社の経営に強い影響力を有していたことがうかがわれるAも頻繁に本件店舗を訪れていたことからすると、店長である以上に経営者と一体的な立場にあったとまでは認められない

2 Y社の主張するXの賃金待遇に関する点は、いずれもXが本件店舗の店長であったことによって説明するkとも可能なものである。他方で、合計26万円の月額賃金は、他の従業員に比べると好待遇であるとはいえ、店長であることを超えて管理監督者としての地位にあることを裏付けるものとしては不十分である

3 Xがタイムカードの打刻を懈怠することが少なかったことは事実であるが、打刻されている限りでは、所定の勤務時間は、きちんと就労しており、契約上も実態上も、時間管理がなされていなかったとは認められない。また、Xの意識においても、時間管理がなされていないとの認識はうかがわれない

4 Xの業務内容のうち、従業員の採用や従業員の給料の決定を行っていたことを認定するに足りる証拠はない。経理業務を担当していたことについては争いがないが、これのみを以て、Xが管理監督者の地位にあったと認めることはできない。
以上の検討によれば、Xが管理監督者の地位にあるとのY社の主張は採用できない。

5 事情はどうあれ、Xは、格別、困難を来すような事情がうかがわれないにもかかわらず、タイムカードをきちんと打刻しておらず、Y社が的確に時間外労働時間数を把握することを困難にしていることを考慮すると、Y社に付加金の支払いを命じるのは相当でない

付加金に関しては、珍しい判断のしかたです。

裁判所の裁量なので、ありなんでしょうけど、Xがタイムカードをきちんと打刻していなかったこととY社が残業代を支払ってこなかったことって、関係あるんでしょうか?

よくわかりません・・・。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。