Daily Archives: 2011年6月27日

労災45(メディスコーポレーション事件)

おはようございます

土曜日、日曜日は、朝から晩まで、事務所に缶詰状態でした。

HPの作成→訴状・準備書面の作成→筋トレを疲れ果てるまで回転させていました

栗坊photo 034おかげで筋肉痛です

事務所の中に、筋トレ道具があります。

税理士K山先生もたまにうちの事務所で筋トレをしています。

仕事は体力です。 まじめにそう思います。

体力がなければ、いい仕事なんてできっこないと本気で思っています。

肉体的にも精神的にも強くなりたいです。

強くなって、依頼者や事務所スタッフを守りたいです。

今日は、午前中、静岡新聞の担当者と打合せが入っています。

午後は、建築紛争の裁判の打合せです。

夕方から、月1恒例のK・mix Radio the Boom!です。

ずみさんのアドリブがこわい・・・

その後、その足で、不動産会社D社に移動し、不動産セミナーです。

今日の担当は、僕です。 お題は、

貸家の老朽化に伴う立退き・建替えの上手な対処法

です。

今日も一日がんばります!!
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さて、今日は、過労自殺と安全配慮義務に関する裁判例を見てみましょう。

メディスコーポレーション事件(前橋地裁平成22年10月29日・労判1024号61頁)

【事案の概要】

Y社は、介護付き有料老人ホームの運営等を営む会社である。

Aは、Y社の代表取締役である。

Xは、大学卒業後、信用金庫で勤務後、平成14年10月にY社に入社し、平成16年8月当時には、財務経理部長の職にあった。

Aが、Y社に入社した頃、Y社では、株式上場を計画していたことから、Aは管理本部の株式店頭公開準備室課長に就任した。

平成16年度に入ってからは、6施設の新規開業等、Aの担当する業務の負担は増加していた。

Xは、平成16年8月、道路上の車内において自殺を図り死亡した。

Xの自殺前6か月間の時間外労働時間は、概ね月100時間を超えており、長いときには月228時間に達していた。

Xの相続人である妻、子らは、Y社及びY社代表取締役Aを相手とし、安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求をした。

【裁判所の判断】

Y社に対する請求は認容(合計約6500万円)

Aに対する請求は棄却

【判例のポイント】

1 うつ病の発症原因について、今日の精神医学及び心理学等においては、「ストレス-脆弱性」理論に依拠することが適当であると考えられている。すなわち、環境からくるストレスと個体側の反応性及び脆弱性との関係で、精神的破綻が生じるかどうかが決まり、ストレスが非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても破綻が生じる。したがって、業務と本件うつ病との間の相当因果関係の有無の判断に当たっては、業務による心理的負荷、業務以外の心理的負荷及び個体側要因を総合考慮して判断するのが相当である。

2 Y社は、使用者としてXを業務に従事させていたところ、本件自殺前には、Xの時間外労働時間が、6か月という長期間にわたって、平均約100時間以上もの極めて長時間に及んでいたのであるから、Xが過剰な時間外労働をすることを余儀なくされ、その健康状態を悪化させることがないように注意すべき義務があったというべきである。
また、Xは、上記過剰な時間外労働時間に加え、Y社の資金繰りの調整等を担当したことにより、心理的負担の増加要因が発生していたにもかかわらず、Y社は、Xの実際の業務の負担や職場環境などに配慮することなく、その状態を漫然と放置していたのであるから、このようなY社の行為は、上記注意義務に違反するものである。

3 Y社は、毎年定期的に健康診断を実施しているところ、Xが自殺する直前の健康診断においては、Xの健康状態は良好であり、業務態度及びその言動を見ても、Xの精神状態に変調はなかったのであるから、Xの自殺について予見可能性はなかったと主張する。
しかし、長時間労働の継続などにより疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者に心身の健康を損なうおそれがあることは、広く知られているところであり、うつ病の発症及びこれによる自殺はその一態様である。そうすると、使用者としては、上記のような結果を生む原因となる危険な状態の発生自体を回避する必要があるというべきであり、事前に使用者側が、当該労働者の具体的な健康状態の悪化を認識することが困難であったとしても、これだけで予見可能性がなかったとはいえないのであるから、使用者において、当該労働者の健康状態の悪化を現に認識していなかったとしても、当該労働者の就労環境等に照らして、当該労働者の健康状態が悪化するおそれがあることを容易に認識し得たというような場合には、結果の予見可能性があったと解するのが相当である

4 これを本件についてみるに、Y社が本件自殺までにXの具体的な健康状態の悪化を認識し、これに対応することが容易でなかったとしても、(1)Y社の副社長がXの疲れた様子を認識していたこと、(2)Xの時間外労働時間が6か月という長時間にわたって約100時間を超えており、Xは、支援体制が採られないまま、過度の肉体的・心理的負担を伴う勤務状態において稼働していたこと、(3)Y社は、平成15年7月に、桐生労働基準監督署の労働基準監督官から「過重労働による健康障害防止について」という指導勧告を受けていたことに照らすと、Y社において、上記勤務状態がXの健康状態の悪化を招くことは容易に認識し得たといわざるを得ない。
したがって、Y社には、結果の予見可能性があったものというべきである

5 Aは、平成16年当時、Y社の代表取締役であった者であるが、代表取締役の下に副社長を配置し、その下に管理本部を含む6つの部署を配置し、Xの直属の上司は当時CであったなどのY社