不当労働行為4(日本レストランシステム(団交)事件)

おはようございます。

さて、今日は、団交拒否と損害賠償に関する裁判例を見てみましょう。

日本レストランシステム(団交)事件(大阪地裁平成22年10月28日・労判1021号90頁)

【事案の概要】

Y社は、各種レストランチェーン店の経営を業とする会社であり、従業員数は社員1000名、アルバイト従業員は約5000名である。

Xは、主として近畿2府4県において、セメント、生コン産業、トラック輸送その他の一般業種で働く労働者により組織される労働組合であり、その組合員数は約1800名である。

Xは、平成20年12月22日、Y社に対し、団体交渉を開催するよう求めた。

Y社は、同月24日、「団体交渉に応じる義務はない」と述べ、団体交渉を拒否した。

Xは、平成21年1月8日、労働委員会に対して、不当労働行為救済を申し立て、Y社に対して団体交渉応諾およびポスト・ノーティスを求めた。

労働委員会は、Y社の団交拒否を不当労働行為であると認めた。

Y社は、初審命令を不服として、中央労働委員会に対し再審査を申し立てた。

中央労働委員会は、再審査申立を棄却した。

その後、Y社は、Xに対し、再審査命令において命じられたとおりの内容の文書を交付した。

Xは、Y社に対し、団結権及び団体交渉権を侵害されたとして、損害賠償請求をした。

【裁判所の判断】

本件団交拒否は、不法行為をあたり、20万円の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 Y社は社員約1000名、アルバイト従業員約5000名を抱え、レストランチェーンを手広く経営し、専門の人事部署を有する企業であり、本件団交申入れに対して速やかに対応できない事情は全く窺われない

2 Y社は、本件団交申入れに対し、当初からこれを拒否する姿勢を明確にしていた

3 Y社は、本件団交申入れにおいて示されたXからの要求事項につき、回答書において「義務のない要求事項」と述べるものの、回答書あるいはその後の電話におけるやりとりにおいて、Xに対し要求内容に関する確認を行ったり、要求事項に対する会社としての見解を公式・非公式に示すなどの措置を全くとっていない

4 Xが労働委員会に救済申立てをした後、Y社はXに対して団体交渉には応じるような素振りを見せるようにはなったが、Xの複数回にわたる団体交渉開催要請に対し、個別事項以外の交渉には応じられないとか大阪へは行けない等と述べ、速やかに団体交渉に応じようとはしなかった。

5 これらの事実によれば、本件団交申入れに対するY社の一連の対応は、Xの団体交渉権ないし団結権を不当に軽視するものとして、Xに対する不法行為を構成するというべきである

6 本件団交申入れに対するY社の不法行為によって、Xには労働組合としての団体交渉権を否定されたことによる社会的評価の低下による無形損害が発生したところ、Xの損害については、Y社が、Xによる救済申立後にようやく団体交渉に応じ、協定書の締結にまで至ったことや、Y社からの団交拒否が労働委員会において不当労働行為であると認定されたことを誠実に受け止める旨の文書の交付を受けたことにより相当程度回復されたというべきである

たいした理由もないのに、団交拒否するとこのようなことになります。

会社の対応のまずさが随所に出ています。

会社としては、団体交渉をなめてはいけません。 気をつけましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。