おはようございます。
さて、今日は、年俸制の残業取扱いについて見て行きましょう。
まず、最も基本的な誤解としては、「年俸制の場合、残業をしても、割増賃金を支払わなくてもよい」というものです。
年俸制を採用する場合でも、割増賃金を支払わなければいけません。
次に、年俸制において、あらかじめ支給額が決定している賞与については、「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」とはみなされません。
したがって、賞与部分を含めて当該確定した年俸制を算定基礎として割増賃金を支払う必要があります。
つまり、賞与を含めて年俸制を確定している場合には、たとえ年俸額の16分の1を毎月支払っていても、16分の4を年2回の賞与(既に確定している額)として支払った場合であっても、年俸額の12分の1を月の賃金額として計算しなければなりません。
なお、年俸制の場合、すべての場合で、割増賃金算定の基礎に賞与を含めて計算しなければならないわけではありません。
例えば、月給部分のみを年俸制にして、賞与は別途、業績などを考慮して、その都度決定するという方法をとれば、賞与は割増賃金の算定基礎から除外することができます。
この点を知っているだけで、かなり金額が変わってきますね。
なお、現在の賃金規程を変更する必要がある場合、不利益変更の問題が絡んできますので、慎重に行うべきです。
年俸制の導入を検討している社長は、顧問弁護士又は顧問社労士に詳細を確認してください。