Monthly Archives: 1月 2011

競業避止義務13(トータルサービス事件)

おはようございます。

さて、今日は、競業避止義務に関する裁判例を見てみましょう。

トータルサービス事件(平成20年11月18日・判タ1299号216頁)

【事案の概要】

Y社は、建築物・構築物内外装の清掃・補修・保守の各事業、同各事業に関わる機械・車両・器材・塗料・洗剤の輸入・販売・リース、同各事業に関わるフランチャイズチェーン店の加盟店募集及び加盟店指導業務等を目的とする会社である。

Y社は、米国会社2社との間で、これら会社が事業化している車両外装のリペア(修復)を中心とした事業及び家具・車両内装のリペアや色替えを中心とした事業について、日本国内における独占的実施契約を締結し、上記各事業をフランチャイズ商品化して加盟店募集及び加盟店指導業務を行っている。

Xは、Y社の社員としてインストラクターの地位にあり、加盟店への技術指導及び車関連事業の直営施工を担当していたが、自ら退職した。

Xは、退職後、Y社のそれと類似の事業を自ら開業して行っていた。

これに対し、Y社は、Y社就業規則並びに在職中及び退職時にXに提出させた機密保持誓約書を根拠に、Xの行っている事業の差止めと損害賠償を求めた。

【裁判所の判断】

本件競業避止義務規定は、有効であり、2年間の事業の差止めおよび674万円の損害賠償請求を認めた。

【判例のポイント】

1 一般に、従業員が退職後に同種業務に就くことを禁止することは、退職した従業員は、在職中に得た知識・経験等を生かして新たな職に就いて生活していかざるを得ないのが通常であるから、職業選択の自由に対して大きな制約となり、退職後の生活を脅かすことにもなりかねない。したがって、形式的に競業禁止特約を結んだからといって、当然にその文言どおりの効力が認められるものではない。競業禁止によって守られる利益の性質や特約を締結した従業員の地位、代償措置の有無等を考慮し、禁止行為の範囲や禁止期間が適切に限定されているかを考慮した上で、競業避止義務が認められるか否かが決せられるというべきである。

2 ところで、このうちの競業禁止によって守られる利益が、営業秘密であることにあるのであれば、営業秘密はそれ自体保護に値するから、その他の要素に関しては比較的緩やかに解し得るといえる

3 営業秘密として保護されるには、(1)秘密管理性、(2)非公知性、(3)有用性、が必要であると解される。

4 Y社の技術は、営業秘密に準じるものとしての保護を受けられるので、競業禁止によって守られる利益は、要保護性の高いものである。そして、Xの従業員としての地位も、インストラクターとしての秘密の内容を十分に知っており、かつ、Y社が多額の営業費用や多くの手間を要して上記技術を取得させたもので、秘密を守るべき高度の義務を負うものとすることが衡平に適うといえる。また、代償措置としては、独立支援制度としてフランチャイジーとなる途があること、Xが営業していることを発見した後、Y社の担当者が、Xに対し、フランチャイジーの待遇については、相談に応じ通常よりもかなり好条件とする趣旨を述べたこと等が認められ、必ずしも代償措置として不十分とはいえない。そうすると、競業を禁止する地域や期間を限定するまでもなく、XはY社に対し競業禁止義務を負うものというべきである。

5 上記競業禁止特約が効力を認められる以上、Y社の差止請求は理由がある。しかし、その範囲は、技術の陳腐化やY社の上記技術を独占できるわけではないこと等を考慮すると、本判決確定後2年間に限られるべきである

本件は、差止めまで認められた数少ないケースです。

競業避止義務違反の判断基準は、他の裁判例と同じです。

なお、損害賠償請求についは、Y社・X間の競業禁止特約に従い、損害賠償の予定として定められた、違約金としての、フランチャイズシステムの開業資金等及びロイヤリティ相当分を基準にして、Y社が上記技術を独占できるわけではないことから、このうち7割をY社の損害として認められました。

賠償金額をどのように算定するかは、難しい問題ですので、予め損害賠償額の予定をしておくと、便利ですね。

どのような損害賠償の予定を定めておくべきかは、顧問弁護士に相談してみてください。

労災30(北海道銀行事件)

おはようございます。

今日は、浜松のホテルウェルシーズン浜名湖で弁護団会議があります

本来は、1泊2日なのですが、私は、明日、予定があり、今夜、帰宅します

この裁判も、予定されていた証人尋問がすべて終了し、残すは、最終準備書面の作成だけです。

最後まで力を抜かず、がんばりますよ!!

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、労災に関する裁判例を見てみましょう。

北海道銀行事件(札幌地裁平成19年3月14日・判タ1251号203頁)

【事案の概要】

Xは、昭和58年にY社に入社し、本店や各支店で勤務してきたが、平成10年にうつ病との診断を受け、通院治療を受けてきたが、同年、Y社を退職した。

Xは、長時間労働やいじめ等により心理的負荷を受けてうつ病を発症し、その後、Xのうつ病発症が明らかになったにもかかわらず、Y社が療養を認めないなどの対応をとったことにより、Xのうつ病を悪化させたものであるから、Xのうつ病は、業務上の心理的負荷を要因として発症したといえ、Xの従事した業務とうつ病の発症との間には相当因果関係が認められるなどと主張した。

【裁判所の判断】

札幌東労基署長による休業補償給付不支給処分は適法である。
→業務起因性否定

【判例のポイント】

1 精神障害の発症や増悪は、現代の医学的知見では、環境由来のストレスと個体側の反応性、脆弱性との関係で精神破綻が生ずるか否かが決せられ、環境由来のストレスが強ければ個体側の脆弱性が小さく友精神障害が起きる一方、個体側の脆弱性が大きければ環境由来のストレスが弱くとも精神障害が起きるとする「ストレス-脆弱性」理論が広く受け入れられていることからすれば、業務と精神障害の発症との間の相当因果関係の有無を判断するについては、ストレス(業務による心理的負荷及び業務外の心理的負荷)と個体側の反応性、脆弱性を総合考慮し、業務による心理的負荷が、社会通念上、精神障害を発症させる程度に過重であるといえる場合に、業務に内在ないし随伴する危険が現実化したものとして、当該精神障害の業務起因性を肯定するのが相当である。

2 そして、業務による心理的負荷が社会通念上、精神障害を発症させる程度に過重であるといえるか否かの判断に当たっては、通常人を基準として、精神障害の発症の原因とみられる業務の内容、勤務状況、業務上の出来事等を総合的に検討するべきである。

3 ところで、個体側の要因については、顕在化していないものもあって客観的に評価することが困難である場合がある以上、他の要因である業務による心理的負荷と業務以外の心理的負荷が、一般的には心身の変調を来すことなく適応することができる程度のものにとどまるにもかかわらず、精神障害が発症した場合には、その原因は潜在的な個体側要因が顕在化したことに帰するものとみるほかはないと解される

4 このように個体側の要因については、顕在化していないものもあって客観的に評価することが困難である場合がある以上、他の要因である業務による心理的負荷と業務以外の心理的負荷が、一般的には心身の変調を来すことなく適応することができる程度のものにとどまるにもかかわらず、精神障害が発症した場合には、その原因は潜在的な個体側要因が顕在化したことに帰するものとみるほかはないと解される

5 業務そのものが一般的に過重なものであるといえない以上、たとえ本人にとって過重であり、他にストレスとなる要因が見つからなかったとしても、業務起因性があるとは認めることはできない。

6 また、精神障害の発症自体については業務起因性を認めることができない場合であっても、発症後の業務が、社会通念上、客観的に見て、労働者に過重な心理的負荷を与えるものであって、これによって、既に発症していた精神障害がその自然の経過を超えて増悪したと認められる場合には、業務起因性を認めることができると解するのが相当である

7 藤田医師作成の意見書には、症状の発生機序として「仕事上分からない事が多いまま、主任業務に適応せざるを得ず、大きな心理的負担を感じていたと思われる。」「業務負担による反応性のうつ病と診断した。」、また、「仕事から離れている間は安定していたが、復帰に際して、また不安定となっていた。」などという記載があるが、同意見書は、患者であるXの訴えのみを聴取して業務による心理的負荷の大きさを判断していることが窺えることから、仕事を契機としてうつ病が発症したということを述べたにとどまると評価するのが相当である

この事件は、控訴審(札幌高裁平成19年10月19日・判タ1279号213頁)でも同様の判断がなされています。

この裁判例で注目すべきは、上記判例のポイント6です。

精神障害の発病について業務起因性が認められるか否かを問わず、精神障害発病後の業務による心理的負荷により精神障害が「増悪」した場合の業務起因性を認めています。

なお、判断指針は、「対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること」を判断要素としており、あくまで発病前の心理的負荷を対象としています。

判断指針と裁判所の判断基準が異なる場合があるわけです。

労災が認定されなかった場合でも決して諦める必要はありません!!

解雇21(フィリップ・モリス・ジャパン事件)

おはようございます。

さて、今日は、コンプライアンス規定に違反した等の理由でなされた諭旨退職処分に関する裁判例を見てみましょう。

フィリップ・モリス・ジャパン事件(東京地裁平成22年2月26日・判時2077号158頁)

【事案の概要】

Y社は、たばこの販売促進業務等を目的とする会社である。

Xは、Y社の正社員であり、退職するまで、たばこのルート営業等に従事していた。

Xは、当時、Y社の首都圏リージョン内ユニットマネージャーの地位にあり、同ユニットに在籍する7人のテリトリーセールスマネージャーの管理監督をしていた。

Xは、Y社の職務倫理規定に違反した。また、Xの部下に対し、上司らが暴力行為をしたなどという虚偽の報告をするよう働きかけたりした。

Y社は、Xに対し、自宅待機命令と他の社員との連絡を禁じる旨の命令をはしたが、Xは、自宅待機中、部下らに電話をかけた。

事態を重く見たY社は、コンプライアンス委員会において審議し、(1)Xがコンプライアンス調査について守秘義務を課されたにもかかわらず、周囲にその内容を漏らしたこと、(2)Xが部下に対し上司について虚偽の報告をするよう求めたこと、(3)Xが他の社員との連絡を禁じる旨の命令に違反して、部下に電話をかけたこと、(4)Xが部下に対しパックレールの使用を指示した事実が発覚したことに基づき、Xを諭旨退職とするという意思決定をした。

Xは、Y社に対し、退職願を提出して退職の意思表示をしたことについて、この意思表示は、諭旨退職事由がないのにY社の人事部長の強迫により強制されたものであるからこれを取り消すなどと主張して、仮の地位確認と賃金仮払いを求めた。

【裁判所の判断】

諭旨退職処分は有効

【判例のポイント】

1 Xは、・・・会社諸規程・方針に違反したものということができる。特に、Xは、Y社が奨励する「スピークアップ」を悪用して、Y社のコンプライアンス調査を誤らせようとしたものと考えられるのであり、その違反の程度は重大というべきである。

2 コンプライアンスやインテグリティ(高潔さ、廉直さ)を重視するY社において、ユニットマネージャーであるXが、部下に対しパックレールの使用を指示しておきながら関与を認めず、さらにこれを交通事故のようなものというのは、Y社の方針等に合わない無責任な態度といわざるを得ない。

この裁判例で、注目すべきなのは、上記判例のポイント2です。

裁判所が、Y社は「コンプライアンスやインテグリティ(高潔さ、廉直さ)を重視する会社」であることを認めています

訴訟になったときに、裁判所から、このような評価をしてもらうことは会社にとっては非常にありがたいことです。

判決理由を読むと、フィリップ・モリス・ジャパンのコンプライアンスに対する姿勢がわかります。

会社としては、日頃、どのような対策をとれば、裁判所からこのような評価をしてもらえるのか、じっくり検討するべきだと思います

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

労災29(中部電力事件)

おはようございます。

今日から通常業務を開始します

午前中、交通事故の相談が1件、その後、遺産分割調停

午後は、打合せが3件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、労災に関する裁判例を見てみましょう。

中部電力事件(名古屋高裁平成19年10月31日・労判954号31頁)

【事案の概要】

Xは、工業高校卒業後、Y社に勤務し、火力発電所等において一貫して現場の技術職として業務に従事してきた。

Xは、火力センター工事第1部環境整備課燃料グループに配属され、デスクワーク中心の業務に従事した。

Xは、その後、環境整備課の主任(一般職の最高職級に該当)に昇格したが、うつ病を発症し、これによる心神耗弱状態の下で自殺した。

【裁判所の判断】

名古屋南労基署長による遺族補償給付等不支給処分は違法である。
→業務起因性肯定

【判例のポイント】

1 労災保険法に基づいて遺族補償年金及び葬祭料を支給するためには、業務と疾病との間に業務起因性が認められなければならないところ、業務と疾病との間に業務起因性があるというためには、単に当該業務と疾病との間に条件関係が存在するのみならず、業務と疾病の間に相当因果関係が認められることを要する。

2 そして、労働者災害補償制度が、使用者が労働者を自己の支配下において労務を提供させるという労働関係の特質に鑑み、業務に内在又は随伴する危険が現実化した場合に、使用者に何ら過失はなくても労働者に発生した損失を填補する危険責任の法理に基づく制度であることからすると、当該業務が傷病発生の危険を含むと評価できる場合に相当因果関係があると評価すべきであり、その危険の程度は、一般的、平均的な労働者すなわち、通常の勤務に就くことが期待されている者(この中には、完全な健康体の者のほかに基礎疾病等を有するものであっても勤務の軽減を要せず通常の勤務に就くことができる者を含む。)を基準として客観的に判断すべきである。

3 したがって、疾病が精神疾患である場合にも、業務と精神疾患の発症との間の相当因果関係の存否を判断するに当たっては、何らかの素因を有しながらも、特段の職務の軽減を要せず、当該労働者と同種の業務に従事し遂行することができる程度の心身の健康状態を有する労働者(相対的に適応能力、ストレス適所能力の低い者も含む。)を基準として、業務に精神疾患を発症させる危険性が認められるか否かを判断すべきである。

4 また、本件のように精神疾患に罹患したと認められる労働者が自殺した場合には、精神疾患の発症に業務起因性が認められるのみでなく、疾患と自殺との間にも相当因果関係が認められることが必要である。

5 うつ病のメカニズムについては、いまだ十分解明されてはいないが、現在の医学的知見によれば、環境由来のストレス(業務上又は業務以外の心理的負荷)と個体側の反応性、脆弱性(個体側の要因)との関係で精神破綻が生じるか否かが決まり、ストレスが非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神障害が起こるし、反対に個体側の脆弱性が大きければ、ストレスが小さくても破たんが生ずるとする「ストレス-脆弱性」理論が合理的であると認められる。

6 判断指針(「心理的負荷による精神的障害等に係る業務上外の判断指針について」)は、上級行政庁が下部行政機関に対してその運用基準を示した通達に過ぎず、裁判所を拘束するものではないことは言うまでもないし、その内容についても批判があり、現在においては未だ必ずしも十全なものとは言い難い
そこで、業務起因性の判断に当たっては、判断指針を参考にしつつ、なお個別の事案に即して相当因果関係を判断して、業務起因性の有無を検討するのが相当である。

7 Xの上司は、Xに対して「主任失格」、「おまえなんか、いてもいなくても同じだ」などの文言を用いて感情的に叱責し、かつ、結婚指輪を身に着けることが仕事に対する集中力低下の原因となるという独自の見解に基づいて、Xに対してのみ、複数回にわたり、結婚指輪を外すよう命じた。
これらは、何ら合理性のない、単なる厳しい指導の範疇を超えた、いわゆるパワーハラスメントとも評価されるべき
ものであり、一般的に相当程度心理的負荷の強い出来事と評価すべきであるとし、叱責や指輪を外すよう命じられたことは、1回限りのものではなく、主任昇格後からXが死亡する直前まで継続して行われていたと認められ、うつ病発症前、また死亡直前に、Xに大きな心理的負荷を与えたと認められる。

このケースも、日研化学事件同様に、パワハラを一原因とした自殺事案です。

会社としては、上記判例のポイント7のような上司の発言を防止しなければなりません。

また、この裁判例では、平均的労働者最下限基準説とほぼ異ならない基準を採用しています。

上記判例のポイント2、3のとおり、この裁判例は、同種労働者ないし平均的労働者を基準にしながら、その労働者群の中に「相対的に適応能力、ストレス適所能力の低い者も含む」としています。

この裁判例も、判断指針に依拠することについて消極的ですね。

管理監督者18(学樹社事件)

おはようございます。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

学樹社事件(横浜地裁平成21年7月23日・判時2056号156頁)

【事案の概要】

Y社は、進学教室の経営及び運営等を目的とした会社で、小学生・中学生・高校生を対象とする受験予備校を東急田園都市線、横浜線沿線に開設している。

X1は、Y社の学習塾校長でマネージャーの地位にあり、その後、退職した。

X2は、Y社の学習塾の校長代理でマネージャーの地位にあり、その後、退職した。

Xらは、退職後、Y社に対し、時間外労働の割増賃金と付加金の支払いを求めた。

Y社は、Xらが労基法41条2号に規定する管理監督者に当たると主張し、争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、時間外手当及ぶ同額の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労働基準法37条1項は、割増賃金の算定の基礎となる賃金を、「通常の労働時間又は労働日の賃金」と規定し、同条4項及び労働基準法施行規則21条で割増賃金の算定の基礎となる賃金から除外される手当を規定しているところ、これらの手当は制限的に列挙されているものであるから、これらの手当に該当しない「通常の労働時間又は労働日の賃金」はすべて算入しなければならず、これらの除外される手当は名称にかかわらず、その実質によって判断すべきであると解される。
そして、労働基準法37条4項及び労働基準法施行規則21条3号により割増賃金の算定の基礎となる賃金から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいい、住宅の賃料額やローン月額の一定割合を支給するもの、賃料額やローン月額が段階的に増えるにしたがって増加する額を支給するものなどがこれに当たり住宅に要する費用にかかわらず一定額を支給するものは、除外される住宅手当に当たらないと解するのが相当である

2 労働基準法41条2号が管理監督者に対して労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しないと定めているのは、管理監督者がその職務の性質上、雇用主と一体となり、あるいはその意を体して、その権限の一部を行使するため、自らの労働時間を含めた労働条件の決定等について相当程度の裁量権を与えられ、報酬等その地位に見合った相当の待遇を受けている者であるからであると解される。したがって、同号にいう管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき、雇用主と一体的な立場にあるものをいい、同号にいう管理監督者に該当するか否かは、(1)雇用主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を有するか、(2)自己の出退勤について、自ら決定し得る権限を有するか、(3)管理職手当等の特別手当が支給され、待遇において、時間外手当及び休日手当が支給されないことを十分に補っているかなどを、実態に即して判断すべきである。

3 X1については、校長として校長会議及び責任職会議への出席、時間割作成、配属された職員に対する第一次査定等を行っていたものの、校長会議及び責任職会議は、ブロック長以外の者が出席する会議等で決定された経営方針、活動計画を伝達されるだけであり、校長がY社代表者の決裁なしに校舎の方針を決めたり、費用を出捐したり、職員の人事を決定することはない

4 X2については、校長代理として責任職会議に出席していたのみであり、特別な事情がない限り校長業務を代理することはなく、直接他の職員に指示することもないことから、いずれもY社の経営に参画したり、労務管理に関する指揮監督権限を有していたとは認められない。

5 Xらについては、出退勤時間が定められ、勤務記録表により出退勤時間を管理されていたことから、出退勤について自ら自由に決定し得る権限があったとはいえない

6 さらに、役職手当が支給されていたものの、年収が400万円台半ばまでにとどまっていることから、待遇において、時間外労働の割増賃金が支給されないことを十分に補っているとはいえない

7 Y社は、Xらを含め雇用期間の定めのない正社員の約8割に該当するサブマネージャー以上の地位にある社員がいずれも管理監督者であるとして、時間外手当等を支払っていないところ、・・・Y社の行為が労働基準法37条に違反することは明らかである。
よって、本件については、労働基準法114条に基づき、Y社に対し、Xらの時間外手当等の認容額と同額の付加金の支払を命じるのが相当である。

Y社は、Xらに対し、付加金を含め、合計約1000万円の支払いを命じられました。

Y社は、控訴していますが、おそらく結論は変わらないでしょう。

遅延利息が増えるだけです。

また、Y社では、Xらだけでなく、雇用期間の定めのない正社員の約8割を管理監督者として扱っているようですので、この裁判例の影響は測り知れません。

あと、管理監督者性の問題とは直接関連しませんが、上記判例のポイント1の割増賃金の算定の基礎となる手当の範囲について、会社の担当者のみなさんは、もう一度確認してみてください。

せっかく支給しているのに、支給方法を誤ると、この裁判例のように、除外されなくなってしまいます。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

労災28(日研化学事件)

おはようございます。

今日もまだ予定は入っていません

ちょっと海までドライブしようかと思っています。

海を見て、いかに自分が小さいかを再確認してきます

・・・病んでる?

それ以外は、書面作成に徹します!!

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、労災に関する裁判例を見てみましょう。

日研化学事件(東京地裁平成19年10月19日・労判950号5頁)

【事案の概要】

Y社は、医薬品の製造、販売等を業とする会社である。

Xは、大学卒業後、Y社に入社し、医療情報担当者(MR)として勤務していた。

MRの業務とは、製薬会社の営業担当者として医療機関を訪問し、自社医薬品に関する有効性、安全性等の情報を、医師をはじめとする医療従事者に的確に伝え、医療従事者からの情報を製薬会社にフィードバックすることにより、自社製品の適切な処方の拡大を推進する業務である。直接医師に面会して医薬品の説明を行う他、説明会を実施する等する。

Xは、家族や上司を名宛人とする8通の遺書を残し、自殺した。

【裁判所の判断】

静岡労基署長による遺族補償給付等不支給処分は違法である。
→業務起因性肯定

【判例のポイント】

1 精神障害の発症については、環境由来のストレスと、個体側の反応性、脆弱性との関係で、精神的破綻が生じるかどうかが決まるという「ストレス-脆弱性」理論が、現在広く受け入れられていると認められることからすれば、業務と精神障害の発症との間の相当因果関係が認められるためには、ストレス(業務による心理的負荷と業務以外の心理的負荷)と個体側の反応性、脆弱性を総合考慮し、業務による心理的負荷が、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重であるといえる場合に、業務に内在又は随伴する危険が現実化したものとして、当該精神障害の業務起因性を肯定することが相当である。

2 ICD-10のF0~F4に分類される精神障害の患者が自殺を図ったときには、当該精神障害により正常な認識、行為選択能力及び抑制力が著しく阻害されていたと推認する取扱いが、医学的見地から妥当であると判断されていることが認められるから、業務により発症したICD-10のF0~F4に分類される精神障害に罹患していると認められる者が自殺を図った場合には、原則として、当該自殺による死亡につき業務起因性を認めるのが相当である。その一方で、自殺時点において正常な認識、行為選択能力及び抑制力が著しく阻害されていなかったと認められる場合や、業務以外のストレス要因の内容等から、自殺が業務に起因する精神障害の症状の蓋然的な結果とは認め難い場合等の特段の事情が認められる場合には、業務起因性を否定するのが相当である。

3 Xの上司であるZ係長は、Xに対し、「存在が目障りだ、居るだけでみんなが迷惑している。おまえのカミさんも気がしれん、お願いだから消えてくれ」、「お前は会社を食いものにしている。給料泥棒」、「お前は対人恐怖症やろ」、「肩にフケがベターと付いている。お前病気と違うか」等と発言している。Z係長は、Xについて、部下として指導しなければならないという任務を自覚していたと同時に、Xに対し、強い不信感と嫌悪の感情を有していたものと認められる。

4 また、Xの所属していた係の勤務形態につき、直行直帰を原則とし、月曜午前の定例打合せのほかは、不定期に週1、2回集まるというもので、他の同僚やZ係長より上位の社員との接点がない等、Z係長から厳しい発言を受けることのはけ口がなく、本件会社が人事管理面から従業員間の関係を適正に把握しがたいことから、むしろ心理的負荷を高めるという側面がある

5 (1)Z係長の発言は、言葉自体が過度に厳しく、10年以上のMRとしての経験を有するXのキャリアを否定し、なかにはXの人格、存在自体を否定するものもあったこと、(2)Z係長のXに対する態度に、Xに対する嫌悪の感情の側面があること、(3)Z係長は、Xに対し、極めて直截なものの言い方をしていたと認められること、(4)静岡2係の勤務形態が、本件のような上司とのトラブルを円滑に解決することが困難な環境にあること、から、Z係長のXに対する態度によるXの心理的負荷は、人生においてまれに経験することもある程度に強度のものということができ、一般人を基準として、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重なものと評価するのが相当である。

本件は、Xの上司からのパワハラを原因とした自殺を労災と認めたケースです。

注目すべきは、上記判例のポイント4です。

上司のパワハラのみならず、上司とのトラブルを円滑に解決することが困難な環境にあることも業務起因性を肯定する一要因としている点です。

パワハラを原因とする以上、労災のほかに、民事事件として、会社は、損害賠償請求をされる可能性があります。

会社全体として、本件のような事態を回避する具体策を講じなければいけません。

会社の業種、規模、従業員の勤務形態等により対策の内容は異なると思います。

詳しくは、顧問弁護士又は顧問社労士に相談してみてください。

競業避止義務12(フューチャーアーキテクト事件)

おはようございます。

さて、今日は、競業避止義務に関する裁判例を見てみましょう。

フューチャーアーキテクト事件(東京地裁平成21年1月19日・判時2049号135頁)

【事案の概要】

Y社は、企業経営・情報システムのコンサルティング業務、情報システムの設計・開発等を業とする会社である。

Xは、Y社に従業員として雇用されたが、約5年後、Y社から懲戒解雇された。

Y社とXとの間には、機密保持契約が締結されており、Xは、同契約に基づき、Y社の事業と競合し又はY社の利益と相反するいかなる事業活動にも従事、投資又は支援しない義務を負っていた。

Xは、Y社との雇用契約上の競業避止義務に違反して、Y社在職中に、Y社と競合するA社に出資し、その後、A社が株式会社に組織変更された際に株主となり、その後、A社の代表取締役に就任した。

A社は、Y社の顧客Z社から継続的に業務を請け負った。

Y社は、これにより、Y社がZ社から業務を受注する機会を喪失させたと主張し、Xに対し、損害賠償を請求した。

【裁判所の判断】

本件競業避止義務に関する合意は、有効である。

【判例のポイント】

1 Xは、Y社在職中、A社に出資し、その後、A社が株主会社に組織変更された際にはA社の株主となり、その後、A社の代表取締役に就任し、現在も、発行済み株式200株のうち10株を保有していること、加えて、Y社は、企業経営・情報システムのコンサルティング業務、情報システムの設計・開発等を業とする会社であること、A社は、Y社からABプロジェクトの業務の一部を受託するなどY社との取引関係を有していたこと、A社は、本件各取引により、ソフトウェアプログラムの開発業務やシステムのメンテナンス業務を請け負っていたこと、Y社は、ABプロジェクト以外において開発したシステムのメンテナンス業務を請け負うこともあったことからすれば、A社は、Y社の事業と競合し、Y社の利益と相反する事業活動を行っていたものであって、Xは、A社の事業活動に従事し、A社に等し、支援していたと認められる。
そうすると、Xは、Y社の事業と競合し、Y社の利益と相反する事業活動に従事し、投資、支援したものと認められ、本件競業避止義務に違反したものというべきである

2 Xの本件競業避止義務違反の結果、Y社が本件各取引をZ社から受注する機械を喪失したと認めることはできないから、Y社のXに対する競業避止義務違反に基づく損害賠償請求は、理由がない

本件は、在職中の従業員の競業避止義務違反が問題となっています。

競業避止義務違反であることについては、あまり異論がないところだと思います。

本件のポイントは、競業避止義務違反を認めつつも、損害の立証がないとして、その部分についてのY社の請求を棄却した点です。
(なお、本件は、別の理由で、Xに対し、約880万円の支払いを命じています。)

競業避止義務違反による損害賠償請求は、その損害の立証が困難です。

会社側としては、この裁判例を参考にし、事前に適切な対策をとるべきです。

対策方法については、顧問弁護士に質問してみてください。

競業避止義務違反が認められたけれど、損害賠償請求は棄却された、では意味がありません。

労災27(東芝事件)

おはようございます。

今日から、通常通り、事務所で仕事を始めます!

今年は、やりたいことがいっぱいあります

1年間、突っ走ります

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さて、今日は労災に関する裁判例を見てみましょう。

東芝事件(東京地裁平成21年5月18日・判時2046号150頁)

【事案の概要】

Y社は、電気機械器具製造等を業とする会社である。

Xは、Y社に勤務し、液晶生産ライン開発プロジェクトの業務に従事していた。

Xは、過度の業務上の負荷を受けた結果、適応障害を発症し、その後、症状を増悪させ、うつ病を発症し、療養生活を余議なくされた。

【裁判所の判断】

熊谷労基署長による療養補償給付たる療養の費用及び休業補償給付を支給しない旨の処分は違法である。
→業務起因性肯定

【判例のポイント】

1 精神障害の発症については、環境からくるストレスと個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まるという「ストレス-脆弱性」理論が広く受け入れられていると認められるから、業務と精神障害の発症との間の相当因果関係が認められるためには、ストレス(業務による心理的負荷と業務以外の心理的負荷)と個体側の反応性、脆弱性を総合考慮し、業務による心理的負荷が、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重であるといえる場合に、業務に内在する危険が現実化したものとして、当該精神障害の業務起因性を肯定するのが相当である。

2 Xの労働時間に関する証拠として勤務表があり、これを基にしてXの労働時間を認定することとする。もっとも、同勤務表は、Xが当時作成したものではなく、Xの労働実態を反映しているとは言い難い上、勤務時間が長かったためXが社バスに乗れないことがあったこと、Xが疲労のため禁止されていた自家用車通勤したことがあったこと、他の同僚も遅くまで仕事をしていたことがあった旨供述していること等からすれば、労働時間が上記勤務表より長くても不自然ではない。他方、Xは、毎日午後11時以降まで勤務していた旨供述するが、客観的裏付けはなく、同僚の供述によれば、午後11時より前に帰社日もあったことが窺われ、Xが毎日午後11時以降まで勤務していたとまでは認められない。したがって、Xが上記勤務表から認められる労働時間よりも長時間の労働をしていたと認められ、客観的な裏付けがある範囲でこれを加算することとし、具体的には、上記勤務表記載の労働時間外にXが自ら業務のために更新したデータが認められる範囲で労働時間を修正することとし、Xの供述に照らし、データの更新の時刻から15分遅い時刻をもって終業時刻とする。

3 本件のXの一連の業務態様を総合的に観察して看取できることは、当該業務の内容、スケジュール、業務遂行に当たってのトラブルの発生とそれに対する本件会社の対応等、労働時間という要因が、Xの心理的負荷に重層的に影響を与え、時間を追って亢進させていったということである。
・・・以上のように、Xの業務を巡る状況を見ると、Xは、新規性のある、心理的負荷の大きい業務に従事し、厳しいスケジュールが課され、精神的に追い詰められた状況の中で、多くのトラブルが発生し、さらに作業量が増え、上司から厳しい叱責に晒され、その間にY社の支援が得られないという過程の中で、その間、長時間労働を余儀なくされていた。以上のXに対する心理的負荷を生じさせる事情は、それぞれが関連して重層的に発生し、Xの心理的負荷を一貫して亢進させていったものと認められるのであり、上記のようなXの業務による心理的負荷は、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重であったといえる。

4 業務起因性を否定する埼玉労働局地方労災医員協議会及び沖野医師の意見は、上記の心理的負荷の強度について、個々の要因を分析して、必ずしも強度の心理的負荷とはいえないと評価するものである。上記の個々の分析的な評価自体を肯じる余地はないわけではないが、上記のとおり、本件におけるXの心理的負荷は、M2ライン立ち上げプロジェクトに関与し始めた時点から、Xは、上記のとおりの複数の要因に重層的に晒されたことに大きな特色があるのであり、上記の意見のように、分析的、個々的にして必ずしも強度でないという評価をすることが相当であるとは考えられない

上記判例のポイント4は、労働者側にとっては、非常に参考になります。

医師の意見書が、個々の要因を分析的に評価し、業務起因性を否定している場合には、この裁判例を参考にして、主張しましょう。

管理監督者17(プレゼンス事件)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

さて、今日は、管理監督者に関する裁判例を見てみましょう。

プレゼンス事件(東京地裁平成21年2月9日・判時2036号138頁)

【事案の概要】

Y社は、イタリア料理店を経営する会社である。

Xは、Y社に採用され、X料理長としてイタリア料理店で稼働してきた。

Y社では、タイムカードによる勤務時間管理がされていた。

Xは、時間外手当の請求に備えて、自己のタイムカードを持ち出した。

Y社は、建造物侵入、窃盗等で、Xにより、Xらのタイムカードが盗まれた旨の被害申告を警察に対して行い、これによりXは逮捕され、身柄拘束期限に釈放された。

Xは、Y社に対し、時間外手当の請求を行った。

また、Xは、自己のタイムカードをY社から持ち出した行為により警察に逮捕されたことにつき、Y社及びY社代表者に不法行為が成立とし、慰謝料を請求した。

Y社は、Xは管理監督者に該当する等と主張し、争った。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定し、時間外手当及ぶ同額の付加金の支払いを命じた。

不法行為は成立しない。

【判例のポイント】

1 Y社は、Xに対し、何時に出勤せよなどといった具体的な指示はしていないこと、特段ノルマ等は課していないこと、本件店舗で出す料理は、Y社代表者の了承を得たものではあったが、何を出すかあるいは何食出すかといった点については、Xの裁量に基本的に任されていたことが認められる。
したがって、このような状況で、Xが料理人としての個人的な趣味や信条に従って選択した料理の準備に長い時間を費やすことがすべて使用者の経済的負担となる時間外労働となるとは解されない。加えて、この早朝の時間帯のXの勤務状況については、使用者において確認していないのであるから、これらを考慮すると、時間外手当を発生させる労働としては、9時からと認めるのを相当とする。

2 Xが時間外手当の請求をしている平成17年10月から平成19年2月のうち、タイムカードの存在しない期間については、この時の勤務状況に他の期間と特段の差が存したことをうかがわせる証拠は存しないから、Xの請求のとおり、上記期間の平均値をもって時間外労働が行われたものと推認すべきである

3 管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき、経営者と一体的な立場にあるものをいい、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであると解される。具体的には、(1)職務内容が、少なくともある部門全体の統括的な立場にあること、(2)部下に対する労務管理上の決定権等につき、一定の裁量権を有しており、部下に対する人事考課、機密事項に接していること、(3)管理職手当等の特別手当が支給され、待遇において、時間外手当が支給されないことを十分に補っていること、(4)事故の出退勤について、自ら決定し得る権限があること、以上の要件を満たすことを擁すると解すべきである

4 Xは料理長という肩書きが与えられ、厨房スタッフ3名程度の最上位者にいたことは当事者間に争いがない。しかし、Xが部下の採用権限を有していたり、人事考課をしていたなどの事実は認められない。また、Xに裁量のあった料理内容についても、出す料理はすべてY社代表者の了承を得ていたものであり、広範な裁量とはいえない。本件店舗の営業時間が決まっていることから、出退勤を自由に決められるわけではなく、現に毎日に出勤し、朝早くから夜遅くまで勤務していた。待遇についても、Xの月額給与は、36万円であるが、賞与も歩合給も役職手当もないのであるから、この程度では経営者と一体的な立場にあるとは到底いえない。

5 Y社は、Xに対し時間外手当を支払わず、本件訴訟提起後も、変わることなく、時間外手当を支払う姿勢が見られないから、時間外手当と同額の付加金の支払を命ずるのが相当である。

6 Y社代表者は、Xが自己のタイムカードを盗んだことについて窃盗にならないのか、と警察署に相談し、被害届けを勧められてそのようにした。また、Xが自己のタイムカードを持ち出した行為につき、窃盗として逮捕することが相当か疑問がなくはないが、逮捕自体は警察の判断であり、Y社らの行為ではないから、虚偽の被害届けを提出して警察を陥れたという事情が認められない以上、Y社らの不法行為は成立しないというべきである

いろいろと参考になる裁判例です。

本件で、Y社は、合計1000万円を超える金額を支払わなければいけなくなりました。

せめて付加金については、回避したかったところです。

要件を見れば明らかですが、よほどのことがないと管理監督者に該当しません。

また、このケースで、会社側に参考になるのは、上記判例のポイント1です。

従業員から時間外手当を請求された場合の争い方のひとつです。

労働者側として参考になるのは、判例のポイント2です。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。