おはようございます。
今日は、継続雇用制度に関する裁判例を見てみましょう。
NTT西日本(継続雇用制度・徳島)事件(高松高裁平成22年3月12日・労判1007号39頁)
【事案の概要】
Y社に雇用されていたXらが、Y社において定年とされていた60歳を迎え、退職するに至ったことに関し、Y社が高年法9条1項に基づきXらの定年(60歳)後の雇用を確保すべき義務に違反して何らの措置も採らず、Xらを定年退職させたことが債務不履行または不法行為に該当するとして、Y社に対し、損害賠償等の支払いを求めた。
【判例のポイント】
1 Y社の事業構造改革に伴い導入された雇用形態・処遇選択制度につき、Y社の労働者がその選択によりY社と密接な関係を有する地域会社において年金支給開始年齢に達するまで継続して雇用されることを保障したものといえ、高年法9条1項2号所定の継続雇用制度に該当する。
2 従来の定年後再雇用制度(キャリアスタッフ制度)の廃止は、定年退職者の再雇用の雇用制度の廃止であって、社員の労働条件に直接影響を及ぼすものではなく、Y社にXらを再雇用すべき義務が生じていたとも認められない。
3 上記2の点を置くとしても、本件キャリアスタッフ制度廃止は、Y社の構造改革の一環として、本件制度の導入と同時に実施されたものであって、本件制度には導入の必要性があり、また多数組合との間で合意が成立していること、本件制度においては、社員に選択の機会があり、転籍後の賃金が地場賃金の水準を下回ることはなく、激変緩和措置等も講じられ、勤務地も限定されるといった利益も存する等、不利益の程度も著しいものとはいえないことを考慮すると、キャリアスタッフ制度の廃止は合理性を有する。
本件は、NTTの構造改革の一環として実施された転籍および定年後の再雇用制度が、高年法9条1項2号の継続雇用制度に該当するか、従来の定年後再雇用制度の廃止が就業規則の不利益変更にあたるか等が争点となっています。
Xらの請求は、いずれも棄却されました。
本件と関連する事件としては、NTT西日本(高齢者雇用・第1)事件、NTT東日本事件などがあります。
やはり、この分野は、なかなか従業員にとって厳しい判断がされています。
いずれ流れが変わるときがくると思いますが・・・。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。