おはようございます。
もう1つ裁判例を見てみましょう。
千里山生活協同組合事件(大阪地裁平成11年5月31日・労判772号60頁)
【事案の概要】
Y社は、消費生活協同組合。
Xらは、Y社の支所、倉庫等において、物流業務、共同購入業務等に従事していた。
Y社の就業規則には、配達業務への事業場外みなし労働時間制が規定されている。
Xらは、時間外労働等に対する割増賃金の支払いを求めた。
Y社は、就業規則を根拠に、配達からの帰着時間が所定終業時間を超えても時間外勤務手当の対象とはならないと主張した。
【裁判所の判断】
事業場外みなし労働時間制の適用を受ける場合にはあたらない。
【判例のポイント】
1 Y社においては、配達業務に従事する職員を含めて、その労働時間をタイムカードによって管理しており、労働時間を算定しがたい場合に当たらない。
というわけで、タイムカードで労働時間を管理している場合には、事業場外みなし労働時間制を使うことはできないようです。
なお、時間外労働の有無について、タイムカードの記載によって、これを認定できるかについて争われることがあります。
本件でも争点の1つになっています。
裁判例の中にも、タイムカードの記載によって時間外労働時間を認定するものと、タイムカードの記載は現実の労働時間を記載したものではないとするものがあります。
この点については、別の機会に見ていきたいと思います。
労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。