おはようございます。
今日は、事業場外みなし労働時間制に関する裁判例を見てみましょう。
ほるぷ事件(東京地裁平成9年8月1日・労判722号62頁)
【事案の概要】
Y社は、書籍等の訪問販売を主たる業務とする会社である。
Xらは、Y社のプロモーター社員(就業規則上、事業場外みなし規定が適用されるものとされている)であり、土曜または日曜の休日に、展覧会での販売業務に従事したとして、時間外及び休日手当を請求した。
Y社は、展覧会での労働が、事業場外みなし労働時間制の適用の対象である等として、Xらの請求に応じなかった。
【裁判所の判断】
事業場外みなし労働時間制の適用を受ける場合にはあたらない。
【判例のポイント】
1 展示販売は、業務に従事する場所及び時間が限定されていた。
2 Y社の支店長等も業務場所に赴いていた。
3 Xらの会場内での勤務は、顧客への対応以外の時間も顧客の来訪に備えて待機していたものであり、休憩時間とはいえない。
1~3のような事情から、裁判所は、「労働時間を算定し難いとき」とはいえないと判断しました。
1、2からすると、労働時間は把握できたと判断されても仕方がありません。
みなし労働時間制の要件を満たしていない場合には、原則に戻り、実労働時間で労働時間を計算して割増賃金を支払うことになります。
もっとも、残業時間が何時間であるかについては、労働者が立証しなければなりません。
そのため、従業員のみなさんは、事業場外みなし労働時間制が採用されている場合でも、実労働時間を記録化しておくことをおすすめします。
労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。