おはようございます。
NTT東日本事件(東京地裁平成21年11月16日判決・判時2080号131頁)
【判例のポイント】
1 高年齢者雇用安定法9条1項に私法的強行性はない。
2 同法9条2項の継続雇用制度は、65歳までの安定した雇用機会の確保という同法の目的に反しない限り、各事業主がその実情に応じ、同一事業主に限らず、同一企業グループ内での継続雇用を図ることを含む多様かつ柔軟な措置を講ずることを許容していると解すべきであり、その場合の賃金、労働時間等の労働条件についても、労働者の希望や事業主の実情等を踏まえた多様な雇用形態を容認していると解するのが相当である。
というわけで、これまでの下級審判決と同じです。
確かに、法律の解釈からすると、普通にいけばこのような判断になると思います。
この点に関し、大阪市立大学名誉教授西谷敏先生は、以下のように述べています
「高年齢者の雇用を実効的に保障するために、高年法そのものの改正も必要である。
まず何よりも必要なのは、高年法9条1項に違反した場合の法律効果を明記することである。使用者が9条1項に定めるいずれの措置もとらない場合には、65歳定年制をもうけたものとされるべきである。また、継続雇用制度における選択基準が違法である場合や、継続雇用が不当に拒否された場合に、労働者が労働契約上の地位確認を請求しうることが明記されるべきである。これらのことは、現行法の解釈としても認められると考えるが、それを否定する裁判例が多い状況下で、そのことを明文化することに大きな意味がある。」(季刊・労働者の権利285号13頁)
個人的には、現行法の解釈としては難しいと思います。
立法的に解決すべきだという点は、賛成です。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。