おはようございます。
今日は、組合員の不採用と不当労働行為に関する事案を見てみましょう。
吾妻自動車交通ほか1社事件(中労委平成21年9月16日命令・労判第991号180頁)
【事案の概要】
会社Aは、経営悪化を理由に解散。
解散に伴い、全従業員を解雇し、同社の事業を引き継いだ会社Bが組合員のみを不採用とした。
組合は、本件解雇及び本件雇入れ拒否が労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると主張。
【労働委員会の判断】
労組法7条1号及び3号に該当する。
【命令のポイント】
1 組合員と非組合員との間に顕著な差別的な取扱いが行われているが、会社A、Bはこれを正当とする理由を格別主張していない。
2 本件雇入れ拒否は、組合嫌悪の念に基づき、組合及び組合員の排除を行ったものとみざるを得ない。
差別的取扱いについて、合理的な理由を主張しないのであれば、このような判断がされるのは当然です。
もう少し慎重にすすめたいところです。
補足。
7条3号の支配介入についても、不当労働行為意思の存在は必要とされています。
7条3号の支配介入の意思とは、「直接に組合弱体化ないし具体的反組合的行為に向けられた積極的意図であることを要せず、その行為が客観的に組合弱体化ないし反組合的な結果を生じ、又は生じるおそれがあることの認識、認容があれば足りる」(日本IBM事件・東京高裁平成17年2月24日判決)。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。