おはようございます。
今日は、継続雇用制度に関する裁判例を見てみましょう。
NTT西日本(高齢者雇用・第1)事件(大阪高裁平成21年11月27日判決・労判1004号118頁)です。
【事案の概要】
会社は、定年を60歳とし、63歳または64歳までの継続雇用制度を採用していた。
会社は、労使協定を結び、地域会社への転籍を選択した従業員のみ、 定年後も再雇用され得るとした。
これに対し、転籍せず、会社にとどまることを選択し、定年退職したものとして扱われた従業員7名が、会社に対し、定年後の継続的雇用確保義務違反等を主張して損害賠償を請求した。
【裁判所の判断】
一審、控訴審ともに請求棄却。 現在、上告中。
【判例のポイント】
1 高年齢者雇用安定法は、社会政策誘導立法ないし政策実現型立法として公法的性格を有しており、その作為義務の内容は抽象的であってただちに私法的強行性ないし私法上の効力を発生させるほどの具体性を備えているとは認めがたい。
2 会社が同法9条1項に基づいて、私法上の義務として継続雇用制度の導入義務ないし継続雇用義務まで負っているとまではいえない。
3 継続雇用制度によって確保されるべき雇用の形態は、必ずしも労働者の希望に合致した職種・労働条件による雇用であることを要せず、労働者の希望や会社の実情等を踏まえた常用雇用や短時間勤務、隔日勤務等の多様な雇用形態を含むもの解するのが相当であり、継続雇用制度に転籍による雇用継続がおよそ含まれないと解することはできない。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。