重要判例【東京地判平成27年3月6日】49歳スナックママの逸失利益につき、事故の5ヶ月前等から過去3年間の平均収入を基礎に生活費40%控除して認定

1 葬儀費用及び墓石費用について

原告らは、葬儀費用のほか、墓石費用、永代使用料、管理料及び手桶代として合計397万9250円を負担したとして、これを葬儀費用とは別途損害として主張するが、上記各費用は、祭祀を主催すべき立場にある者が不法行為により死亡した家族のために支出を余儀なくされたという意味においては、葬儀費用と区別することができるものではなく、他に上記150万円を超えて本件事故と相当因果関係のある損害を認めるに足りる的確な証拠はない

2 死亡逸失利益について

亡Aは、平成24年にC株式会社が経営するスナックDのいわゆるママとして363万4983円、株式会社Eに勤務して54万7983円、合計418万2966円の収入を得た事実が認められる。

しかし、①C株式会社については、本件事故の約5ヶ月前である平成24年6月から勤務を開始したにすぎず、職種にも鑑みると将来にわたり上記金額と同程度の収入を得られる蓋然性があったとは認めるに足りない

また、②株式会社Eについては、平成24年6月30日に退職している。

加えて、③亡Aの平成22年の収入は112万5936円、平成23年の収入は91万8497円にとどまる。

以上によれば、亡Aの死亡逸失利益を算定するに当たっては、平成24年の収入のみを基礎として算定するのは相当ではなく、本件事故前3年間の平均である207万5799円を基礎として算定するのが相当である。

よって、亡Aの生活費控除率を40%、就労可能年数を49歳から67歳まで18年間(これに対応するライプニッツ係数は11.6896)として1455万9155円を亡Aの逸失利益と認めるのが相当である。

3 慰謝料について

亡Aが本件事故により突如として生命を絶たれたこと、原告Fが亡Aと婚姻して8年以上連れ添い、亡Aの収入で生計を立てていたこと、原告G及び原告Hがそれぞれ亡Aの子であり、原告Iが亡Aの母であること、その他本件に顕れた事情を考慮すると、亡Aの死亡慰謝料として2250万円、原告Fの固有の慰謝料として200万円、原告G及び原告Hの固有の慰謝料として各100万円、原告Iの固有の慰謝料として150万円、以上合計2800万円を認めるのが相当である。