お知らせ【フランチャイズ契約㉔】フランチャイジーの契約上の地位の譲渡
フランチャイズ契約においては、フランチャイジーとしての地位が自由に譲渡されると、フランチャイズ・チェーンのノウハウや営業秘密が流出するのと同じ結果となるため、フランチャイザーの承諾がなければフランチャイジーは契約上の地位を譲渡できないとされているわけです。
なお、相続によってもフランチャイジーの地位は移転します。そのため、フランチャイジーの死亡が契約の終了原因とされる裁判例をあります。
2.また、権利に質権や譲渡担保を設定する場合でも、権利の譲渡と同様に第三者が権利関係に介入する可能性があるため、フランチャイジーの権利に担保権を設定する場合でも、フランチャイザーの承諾を必要とする裁判例が多いです。
3.このほか、フランチャイジーが店舗の運営を第三者に委託する場合も第三者が契約関係に介入してきますし、株式譲渡、会社分割、合併によっても、実質的な経営者が変わる場合があります。
そのため、店舗の運営委託や名義貸し、主要株主の変更や会社分割等についてもフランチャイザーの承諾を要求する裁判例があります。
4.以上のとおり、フランチャイズ契約書では、フランチャイジーの地位の移転は広く制限されているのが一般的です。
フランチャイジーが、これに違反した場合、フランチャイザーは、フランチャイズ契約を解除することができます。
もっとも、違反の程度如何によっては、フランチャイザーの解除が無効と判断される場合もありますので、注意が必要です。
この点について参考になる裁判例を紹介します。
化学ぞうきんレンタル事業のフランチャイジーが第三者に当該事業を譲渡し、自社はその事業を廃業した事例で、当該フランチャイズ契約の解釈上、契約当事者としての地位の移転を伴わない事業譲渡についてはフランチャイザーの承諾は必要ないと解することができるとして、フランチャイザーから元フランチャイジーに対する損害賠償請求を否定した裁判例があります(福岡高判平成8年9月19日)。
この裁判例は、解除の是非が問題となった事案ではありませんが、譲渡禁止条項の適用の合理的範囲を制限したものとして参考になると思います。