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【交通事故㊱】人身傷害保険とは?
2 請求方法
①「人傷先行」(損害賠償請求権への代位の問題)
被害者が自らが被保険者となっている人身傷害保険契約の保険会社に対して先に人身保険金を請求して取得した上で、後に加害者に損害賠償金残額を請求する方法であり、人傷保険金を支払った保険会社の損害賠償請求権への代位の範囲が問題となります。
②「自己過失払」
被害者が人身傷害保険契約の保険会社に対して、人傷基準で算定した人傷保険金のうち自己過失に相当する分だけを請求する方法。人身傷害保険契約の保険会社の損害賠償請求権への代位は約款の明文で否定されています。
③「賠償先行」(人傷保険金支払額からの控除の問題)
被害者が加害者等からの損害賠償金等を取得した後に、人身傷害保険契約の保険会社に対して人傷保険金を請求する方法であり、後行の人傷保険金請求の際、既受領の賠償金等を支払保険金から控除する範囲の問題が生じます。
3 代位の範囲に関する最高裁判例
①最高裁平成24年2月20日判決
【事案】
死亡事故被害者(原審で過失1割)遺族らが人傷保険金受領後に加害者を被告として損害賠償請求訴訟を提起した事案
【要旨】
ア 人身傷害保険金を支払った保険会社は、損害金元本に対する遅延損害金の支払請求権に代位することはない。
→被害者遺族らの人傷保険金支払日までの確定遅延損害金請求を認容した。
イ 人身傷害条項の被保険者である被害者に過失がある場合、人傷保険金を支払った保険会社は、上記保険金の額と過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る額の範囲で損害賠償請求権を代位取得する(裁判基準差額説)。
②最高裁平成24年5月29日判決
【事案】
被害者(原審で過失35%)に人傷保険金(5042万円余。人傷基準損害額5057万円余から加害者からの既受領金14万円余を控除した額。)を支払った後、自賠責保険金(3000万円余)を回収した保険会社が原告となり、被害者の損害賠償請求権を代位取得したとして、加害者を被告として求償金請求訴訟を提起した事案
【要旨】
原審は、人傷基準損害金(5057万円)の加害者過失(65%)に相当する額から加害者からの既受領金と自賠責保険金を控除した額を認容したが、最高裁は、「被害者について民法上認められるべき過失相殺前の損害額に相当する額が保険金請求権者に確保されるように・・・の範囲で・・・代位取得すると解するのが相当である。」として裁判基準差額説によるべきことを明示して原審に差し戻した。