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【自己破産㉙】担保権消滅許可手続ってなに?
担保権消滅許可手続とは何ですか。また、この制度を利用する際の注意点を教えてください。
担保権消滅許可手続とは、破産財団に属する財産で担保権の目的となっている財産を破産管財人が任意売却する際に、売却代金の一部を破産財団に組み入れる可能性を認めつつ、裁判所の許可により担保権を消滅させる制度をいいます。
これは、従来より、任意売却交渉においては、正常取引価額を前提とする抵当権者と競売市場に近い処分価額を想定する破産管財人との間で売却価額について対立したり、競売手続では配当を期待できない後順位抵当権者が抹消料(いわゆる「ハンコ代」)を要求して合意形成が阻害されるとの限界が指摘されていたことから導入されたものです。
担保権消滅許可手続を利用する際の注意点は以下のとおりです。
1 担保権者は、担保権消滅許可の申立書等の送達を受けた日から1か月以内に、担保権の実行の申立てを行うことにより、管財人の予定する任意売却と担保権消滅許可を阻止できる(187条)ため、管財人は、任意売却の相手方に対し、少なくとも1か月間は売却できないこと及び1か月以内に担保権者から担保権実行の申立てがあった場合には、任意売却できないことをあらかじめ説明しておく必要があります。
2 担保権者から1か月以内に、他の者が売得金額に5%以上の額を上乗せした額での買受けの申出があり、かつ、その際買受希望者申出額の20%相当額の保証の提供があった場合には、管財人の予定する任意売却及び財団組入はできなくなり、管財人と1か月以内に買受けの申出のあった買受希望者との間での売買契約となります(188条、規60条1項)。管財人は、予定している任意売却の相手方に対し、その場合に任意売却できない旨もあらかじめ説明しておく必要があります。
3 売買代金のうち売得金(組入金がある場合にはその金額を控除した額)についての支払時期は裁判所が定めるため(190条1項)、相手方は前もって売買代金の資金調達の方法を講じておく必要があります。
4 担保権は、相手方から裁判所へ売得金の納付があった時に消滅すること(190条4項)、所有権の移転及び移転登記の時期は、売買契約の定めによりますが、少なくとも売得金の納付後であることから、通常の任意売却のように売買代金の支払いと引換えに所有権移転登記手続及び買受不動産を担保に売買代金を借り入れることが事実上困難となる可能性があります。
このように、担保権消滅許可手続は、管財人にとっても、任意売却の相手方にとっても、リスクのある制度です。また、本制度をむやみに利用することは、担保権者の担保権行使時期の選択の自由を阻害するおそれがあることにも留意しなければなりません。
そのため、担保権消滅許可手続の利用は限定的になされるべきであり、管財人は、本手続を利用するにあたっては、申立前に、裁判所とよく協議をしておく必要があります。
担保権消滅許可手続の利用が有効な場面としては、先順位担保権者は同意しているが、後順位の無剰余担保権者が、抹消のための過大なハンコ代を要求して協議が整わないときなどが想定されます。
これは、従来より、任意売却交渉においては、正常取引価額を前提とする抵当権者と競売市場に近い処分価額を想定する破産管財人との間で売却価額について対立したり、競売手続では配当を期待できない後順位抵当権者が抹消料(いわゆる「ハンコ代」)を要求して合意形成が阻害されるとの限界が指摘されていたことから導入されたものです。
担保権消滅許可手続を利用する際の注意点は以下のとおりです。
1 担保権者は、担保権消滅許可の申立書等の送達を受けた日から1か月以内に、担保権の実行の申立てを行うことにより、管財人の予定する任意売却と担保権消滅許可を阻止できる(187条)ため、管財人は、任意売却の相手方に対し、少なくとも1か月間は売却できないこと及び1か月以内に担保権者から担保権実行の申立てがあった場合には、任意売却できないことをあらかじめ説明しておく必要があります。
2 担保権者から1か月以内に、他の者が売得金額に5%以上の額を上乗せした額での買受けの申出があり、かつ、その際買受希望者申出額の20%相当額の保証の提供があった場合には、管財人の予定する任意売却及び財団組入はできなくなり、管財人と1か月以内に買受けの申出のあった買受希望者との間での売買契約となります(188条、規60条1項)。管財人は、予定している任意売却の相手方に対し、その場合に任意売却できない旨もあらかじめ説明しておく必要があります。
3 売買代金のうち売得金(組入金がある場合にはその金額を控除した額)についての支払時期は裁判所が定めるため(190条1項)、相手方は前もって売買代金の資金調達の方法を講じておく必要があります。
4 担保権は、相手方から裁判所へ売得金の納付があった時に消滅すること(190条4項)、所有権の移転及び移転登記の時期は、売買契約の定めによりますが、少なくとも売得金の納付後であることから、通常の任意売却のように売買代金の支払いと引換えに所有権移転登記手続及び買受不動産を担保に売買代金を借り入れることが事実上困難となる可能性があります。
このように、担保権消滅許可手続は、管財人にとっても、任意売却の相手方にとっても、リスクのある制度です。また、本制度をむやみに利用することは、担保権者の担保権行使時期の選択の自由を阻害するおそれがあることにも留意しなければなりません。
そのため、担保権消滅許可手続の利用は限定的になされるべきであり、管財人は、本手続を利用するにあたっては、申立前に、裁判所とよく協議をしておく必要があります。
担保権消滅許可手続の利用が有効な場面としては、先順位担保権者は同意しているが、後順位の無剰余担保権者が、抹消のための過大なハンコ代を要求して協議が整わないときなどが想定されます。