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【遺産相続㉕】遺留分減殺の対象となる財産の範囲は?

遺留分減殺の対象となる財産の範囲を教えて下さい。

1 遺留分の算定に算入される贈与は、相続開始前1年間にしたものは無条件に減殺の対象となり、相続開始より1年前にした贈与は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限って対象となります(民1030条)。
「相続開始前の1年間にされた贈与」とは、贈与契約が相続開始前の1年間に締結されたことを意味するため、1年以上前に締結された贈与契約が相続開始前の1年間に履行された場合は、該当しません。
「損害を加えることを知って」とは、遺留分を侵害する認識があればよく、損害を与えるという加害の意図や誰が遺留分権利者であるかを知っている必要はありません。
不相当な対価でなされた有償処分について、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って行っていた場合には、贈与とみなされ、対価を差し引いた残額が贈与として加算されます。
2 生命保険金の受取人の変更は、遺留分額に加算される贈与には当たりません(最高裁平成14年11月5日判決)。
3 共同相続人が被相続人より受けた特別受益に該当する贈与について、最高裁平成10年3月24日判決は、特別受益に該当し、遺留分算定の基礎財産に含まれる贈与はすべて減殺の対象となり、民法1030条にかかわらず、無制限に減殺に服すると判断しました(対象説)。