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【交通事故⑬】「将来介護費」「将来雑費」ってなに?

「将来介護費」、「将来雑費」とは何ですか?
1 将来介護費

いわゆる植物状態(遷延性意識障害)や高次脳機能障害などになり、一生涯介護が必要となる場合があります。

このような場合には、介護費自体が損害となり、将来介護費として請求できます。

ただし、将来介護費は、一生涯にわたる介護費を、必要なときごとではなく、一時金としてまとめてもらうものなので、将来にわたる利息分を差し引いて計算することになります。

将来介護費は、以下の計算式によって算出されます。
(年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)

「基準額」は、職業付添人は実費全額、近親者付添人は、1日8000円を目安としています。

ただし、介護の程度が常時介護か随時介護か等の具体的状況により金額が増減されることがあります。

「生存可能期間」は、平均余命数とライプニッツ係数表を参考にして算出します。

なお、ライプニッツ係数とは、年5%の利息を複利で差し引く係数のことです。複利で差し引くのは、将来の収入を一時金として事前に受け取るためです。

裁判例を見ますと、①脊髄損傷の事例として、17の男性(四肢麻痺等、1級)について年間365日のうち、平日240日分は職業付添人介護として、合計1億54万円余を認めたもの(名古屋高裁平成18年6月8日判決)、②遷延性意識障害(いわゆる植物状態)の事例として、8歳の男子について、職業的介護人1名と近親者の合計3名の介護が必要であるとして、1日あたり2万4000円を平均余命まで、合計1億4519円余を認めたもの(大阪地裁平成19年7月26日判決)、③高次脳機能障害の事例として、23歳の女性(左不全麻痺、左知覚鈍麻、知能低下等、併合1級)について、母親が67歳になるまでの10年間は、母親の介護費として日額8000円、職業付添人の介護費として日額3692円(2時間分)、その後平均余命までの52年間は職業付添人の介護費用として日額2万4000円、合計1億3200万円余を認めたもの(東京地裁平成15年8月28日判決)などがあります。

2 将来雑費

将来介護が必要となる被害者については、紙おむつ代、タオル代や手袋代などの将来雑費が必要となります。これらも損害に含まれます。

将来雑費は、以下の計算式により算出されます。

(年額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)

裁判例を見ますと、①1級の後遺障害を残した被害者(18歳)について退院後58年間、日額1500円の紙おむつ代(大阪地裁平成12年7月24日判決)、②1級の後遺障害を残した被害者(53歳)について、重度の尿失禁があるのでおむつ代として、平均余命期間の27年間分748万円余を認めたもの(東京地裁平成21年1月26日判決)などがあります。