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【交通事故⑪】通院するための交通費は全額請求できるの?

通院交通費は、加害者に対して全額請求できますか?
通院のための交通費は、原則として、電車やバスなどの公共交通機関を用いた際の金額で、治療費と同様に、必要かつ相当な治療のための通院交通費のみが認められます。

自家用車で通院した場合には、ガソリン代、駐車場料金、高速道路代等の実費について認められます(神戸地裁平成7年8月2日判決)。

タクシー代は、傷害の部位、程度、年齢等から歩行が困難であるとか、公共交通機関の便がないなど、タクシーを利用せざるを得ない事情があるときにのみ認められます

例えば、右大腿骨骨折、右脛骨・腓骨骨折等の傷害を受けた被害者にタクシーによる通院交通費を認めた例として東京地裁平成14年3月22日判決、被害者が自宅から病院までの公共交通機関を利用するには徒歩1時間もかかることを理由にタクシーによる通院交通費を認めた例として大阪地裁平成7年3月22日判決などがあります。

なお、入院または通院している被害者に家族等が付添看護するために支出した交通費は、被害者の傷害の部位、程度、年齢等から付添看護が必要な場合は、被害者本人の損害として認められます。

例えば、頭蓋骨骨折の高校3年生男子につき、両親が高速道路を利用した往復のガソリン代と高速料金の40日分を認めた例として東京地裁平成10年1月30日判決、被害者である女子高生の装具合わせのための通院につき、東京在住の母が学校の寮のある岡崎まで迎えに行き、送り届けた交通費(電車、バス、タクシー代)を認めた例として東京地裁昭和56年11月24日判決)などがあります。

これに対し、見舞いのための交通費は通常、認められません(東京地裁昭和50年9月4日判決)が、被害者が重症を負って入院し、被害者の子どもが病院にかけつけた場合などには交通費の請求を認めた例もあります(札幌地裁平成13年12月5日判決)。