お知らせ【フランチャイズ契約㉖】契約期間満了による更新拒絶
フランチャイズ契約の期間満了による更新拒絶について教えて下さい。
1.フランチャイズ契約には、通常、契約期間が定められています。契約期間が満了すれば、更新されない限り、契約は終了します(東京地判平成21年9月17日)が、多くのフランチャイズ契約には「自動更新条項」が付されています。
2.この更新拒絶で特に問題になるのは、フランチャイザーが更新拒絶の意思を表示した場合に問題となります(フランチャイジーによる更新拒絶が問題とされた事案はまれです。)。
裁判例を見ると、フランチャイザーの更新拒絶を公序良俗や信義則を理由に制限したり(名古屋地判平成元年10月31日)、当事者の公平の観点から、契約を継続し難いやむを得ない事由がないかぎり契約更新が原則であると判断するものがあります(名古屋地判平成2年8月31日)。
3.当事者の公平の観点とは、具体的には、当該事業を始めるために多額の投資をしたフランチャイジーの投下資本についての合理的期待を保護する必要性と、フランチャイザーの契約継続による負担等を総合的に考慮する視点をいいます。
4.2つの裁判例を紹介します。
まず、九州地域本部が鹿児島地区本部との契約を更新拒絶した事案において、九州地域本部による更新拒絶が認められると、鹿児島地区本部が築き上げた基盤を九州地域本部が労せず獲得するという結果になりかねないとして、九州地域本部による更新拒絶は信義則上許容されるものであると認めるに足りないと判断した裁判例があります(鹿児島地判平成12年10月10日)。
次に、フランチャイジーがすでに2度の契約更新をしたうえに、フランチャイジーが原告1店舗となっていた状況で、フランチャイザー(被告)が更新拒絶をした事案で、「被告も慈善事業でサンドイッチのフランチャイズビジネスをしているわけではないので、原告だけのために本件契約の継続を強いることは被告に赤字経営を法により強制することに成りかねず、極めて困難である」として、フランチャイザーによる更新拒絶を有効とした裁判例があります(東京地判平成20年6月10日)。