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【交通事故⑱】「逸失利益」ってなに?
逸失利益は、後遺症逸失利益と死亡逸失利益の2つに分けることができます。
1 後遺症逸失利益
後遺症逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
①労働能力喪失率は、通常は、後遺障害等級表に応じて認定されます。
もっとも、後遺障害等級には、例えば、外貌醜状や歯科補綴等、後遺障害の性質上、それだけでは通常は労働能力に影響を与えないと考えられる後遺障害も定められており、これらの後遺障害については後遺障害等級に該当しても、後遺障害残存という事実だけでは、通常は労働能力の喪失が認められないことが多いです。
②労働能力喪失期間は、原則として、67歳までの期間とされています。
しかし、局部の神経症状のように、その逸失利益の認められる期間が、長期にわたるものではないとされる場合もあります。
したがって、これらの後遺障害について、逸失利益を求めるためには、減収が実際に生じているのか、後遺障害が存在することによって収入をもたらすべき労働能力にどのような影響を生ぜしめているのかなどを、具体的に主張、立証する必要があります。
③「ライプニッツ係数」とは、中間利息を控除するための指数です。
本来、毎月あるいは毎年受け取るはずであった収入を一時金として取得するため、例えば、67歳のときに受け取るべき収入を現在受け取るため、67歳までの中間利息を控除することになるわけです。
なお、まだ働いていない未成年者や、高齢者については、修正が加えられます。
また、後遺障害等級12級12号及び同14級10号の各神経症状については、症状がその労働能力に影響を与える期間を考えて、年数をやや制限的に認定している場合が多いです。
労働能力喪失期間を見る際に当てはめる「年齢」は、事故時のものではなく、症状固定時での年齢です。
④逸失利益の算定にあたっては、症状固定後に被害者が交通事故とは別の原因で死亡したとしても、交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、死亡の事実の就労可能期間の認定上考慮すべきものではありません(最高裁平成8年4月25日判決)。
2 死亡逸失利益
死亡逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。
年収×就労可能年数に対するタイプニッツ係数×(1-生活費控除率)
死亡の場合は、後遺障害の場合と異なり、その時点で100%所得がなくなりますので、労働能力喪失率は100%です。
ただし、生きていれば生活費にお金がかかるはずなので、その割合を差し引くことになります。これが「生活費控除」です。
被害者が男性の場合には、生活控除率は、50%とされるのが一般的です。
被害者が女性の場合には、働いているかどうかにかかわらず、30%程度で算定されるのが一般的です。
税金、幼児の養育費は控除されません。