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【交通事故③】交通事故にはどんな保険が適用されるの?
また、仕事中の事故(業務災害)や通勤途上の事故(通勤災害)の場合には、労災保険の適用も問題となります。
自賠責保険は、全員加入しなければならない保険です。
自賠責保険は、人身事故による損害を保障するためのもので、物損事故では支払われません。
自賠責保険は、最低限の保障しかされないため、カバーできない損害を補うために、多くの方が任意保険に加入しています。
加害者が自賠責保険に加入していない場合やひき逃げなどで加害者が不明な場合には、自賠責保険金は支払われません。
この場合の救済策として、政府保障事業という制度があります(手続きは多くの損保会社で可能です)。
2 被害者が、労災保険と自賠責保険のどちらを先に請求するかは、被害者の自由意思にまかせられています。
しかし、実務上は、自賠責保険の担保範囲が慰謝料等にも及んでおり労災保険よりも広いこと、自賠責保険には仮渡金の制度があるので早期に支払を受けられることなどから、自賠責保険を先に請求する場合が多いです。
なお、当然のことながら、複数の請求権ができるとしても、同一の損害について複数の請求権を行使して、二重の補償を受けられるわけではありませんのでご注意ください。
3 政府保障事業によって被害者に認められている権利は、政府に対する公法上の保障請求権であり、損害賠償請求権ではありません。そして、この保障請求権は、被害者の加害者側に対する損害賠償請求権の存在を前提としていますから、損害賠償請求権が存在しない場合には保障の請求をすることはできません。
保障事業が被害者に支払う損害の填補限度額は、自賠責保険と同額です(【交通事故㉗】をご参照ください)。
過失相殺についても自賠責保険と同様に減額制度を取り入れています。ただし、親族間事故に対する填補は原則としてなされません。
また、他の手段によっては救済されない被害者に、必要最小限度の救済を与えることが制度の趣旨ですから、健康保険、労災保険など各種社会保険から給付がなされる場合や、自賠法により損害賠償の責任を負う者から損害賠償がなされた場合など、被害者が他の手段によって救済される場合には、その限度において損害の填補はなされません(自賠法73条)。
4 加害者が任意保険に加入していない場合もあります。このような場合、損害をすべて加害者に請求しても、全額支払う能力がないことも考えられます。
このような場合は、被害者は、自分でかけている任意保険の契約内容を確認する必要があります。
加入している任意保険に「無保険者傷害保険」という特約があれば、本来加害者から賠償してもらうべき賠償金を、自分が加入している保険から支払ってもらえます。
なお、無保険自動車とは、単に保険が付いていないというだけではなく、被保険者を死傷させた相手方自動車で、対人賠償保険等をつけていない場合、対人賠償保険等はついているが、賠償義務者の故意、運転年齢条件違反などのため、その事故について保険金が支払われない場合、対人賠償保険はついているが、その保険金額が被保険自動車の無保険車傷害保険の保険金額より低い場合、および当て逃げ等で相手方自動車が不明な場合などをいいます。
5 労災保険及び健康保険等の社会保険では、第三者行為災害について求償規定があり、社会保険が保険給付をしたときはその限度において被害者の第三者に対する損害賠償請求権を自賠責保険等に対する自賠法16条の請求権を含めて取得することになります。このとき、自賠責保険等に対する社会保険からの求償と被害者自身の同条の請求との間には優劣がなく、先に請求した方に自賠責保険等からの支払がされることになるので、自賠責保険等の被害者請求はできる限り早急に行っておくべきです。