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【交通事故①】交通事故を起こした場合の責任について

交通事故を起こした場合、どのような責任を負いますか?
1 民事上の責任

被害者に対して、民法709条の損害賠償責任を負います。

さらに、運転していた自動車が自己の保有車である場合には、自動車損害賠償保障法(自賠法)3条の運行供用者責任を負います。

運行供用者については、通説・判例は、当該自動車について「運行支配」「運行利益」を有する者であるとしています(最近は、運行利益は運行支配の一徴表とみて、「運行支配」を有する者と一元的に考えています)。

裁判例を見ますと、例えば、加害車(貨物自動車)運転者が加害車を所有する会社との間で雇用契約は締結していなかったが、会社の指揮・命令の下で加害車を使用運転中に、被害者と衝突、被害者を受傷・死亡させた事故につき、会社に自賠法3条の運行供用者責任を認めたもの(東京地裁八王子支部平成13年8月2日判決)、加害車(普通乗用自動車)を所有していたA会社からBが無償で借り受け、そして、Cに貸与した後、Cが運転中、その過失によって被害者に障害を発生させた事故についてA会社には特段の事情のない限り、自賠法3条所定の運行支配と運行利益を失わないとしたもの(東京地裁平成14年10月24日判決)などがあります。

2 刑事上の責任

自動車運転中の過失で、人身の死傷事故を起こしたときは、刑法211条2項による自動車運転過失致死傷罪にあたり、7年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金で処罰されます。

また、自動車運転中、飲酒・薬物・無免許・最高速度違反・共同危険行為・安全運転義務違反・信号無視などによって人身の死傷事故を起こしたときは、刑法208条の2の危険運転致死傷罪として、人を負傷させた者は15年以下の懲役、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処せられます。

3 行政上の責任

運転免許の取消し・停止などの処分があります。

行政処分は、管轄地の公安委員会が行います。

4 上記3つの責任の関係

上記3つの責任はそれぞれ目的を異にしますので、刑事上で無罪になったとしても、民事上の損害賠償責任を免れるとは限りません。

また、行政処分がなかったからといって、民事上の責任が問われないわけでもありません。