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【遺産相続㉘】「限定承認」ってなに?

相続の本を読んでいたら、「限定承認」という言葉が出てきました。「限定承認」とはどのようなものですか?

1 「限定承認」とは、被相続人に借金がある場合に登場する言葉です。
相続人は、被相続人にどんなに借金があってもこれを引き継ぐのが原則です(民920条)。
しかし、相続人の意思と関わりなく被相続人の負債を無制限に相続人に引き継がせることは決して好ましくはありません。そこで、法律は、「相続放棄」と「限定承認」という2つの方法を認め、多額の借金を負担したくないという相続人の意思を尊重することにしました。
「相続放棄」については、【遺産相続①】をご参照ください。
「限定承認」とは、被相続人の財産も債務も相続人が引き継ぐものの、その債務は相続によって得た財産の範囲内でのみ支払う責任を負い、相続人固有の財産で支払う責任は負わないものとする手続です(責任なき債務。民922条)。
つまり、限定承認とは、相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば、相続できるという制度です。
相続財産の中にどうしても手放したくないものが含まれているような場合等に「限定承認」を行うメリットがあります。
2 限定承認の手続も、相続放棄と同様に、相続開始を知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ限定承認の申述審判申立書を提出して行います。
しかし、相続人が複数いる場合、限定承認は相続人全員でなければ手続を行うことはできません
つまり、相続人のうち、1人でも反対する者がいる場合には限定承認はできないこととなります。
共同相続の場合、家庭裁判所は、職権で相続人の中から相続財産管理人を選びますので、申述に際しては、相続財産管理人となるべき者を決めて上申する必要があります。
そして、限定承認をした者あるいは共同相続の場合の相続財産管理人はすべての相続債権者及び受遺者に法律で定められた公告及び催告を行い、請求債権の申出を促す必要があります。
申出期間経過後に配当弁済をし、被相続人の債務を清算した後、なお相続財産が残っていれば相続人の間で分配することになります。